無自覚最強陰陽師の成り上がり人生録〜異世界？地球のほうがファンタジーだよ！〜

第113話

とは言ったものの実際どうしたらいいかは分かってない

俺が中距離で可能な攻撃は霊弾くらいしかないのだ

対する武本は霊弾に薙刀の2段構え

どちらか一方に集中するともう一方で攻撃される

薙刀の連撃を避けながら時折撃ってくる霊弾を障壁で防ぐ

この一戦はバリアも禁止する事にした

慢心と言われるかもしれない

事実防ぎきれずに何発か喰らっている

だが少しずつ蓄積するダメージと共に神経が研ぎ澄まされていくのを感じる

段々と被弾する回数が減ってきた

でも霊弾のダメージに切り傷で満身創痍

傷は浅いが身体中から血が流れ出て貧血を起こしそう

そろそろ決めなきゃ、な

「なぁ、武本。お前って必殺技あるか？」

そう必殺技。

大会前におっさんに指摘された事

強い陰陽師はこれがある

事実、去年全国大会に出ていた生徒達のほとんどが必殺技と呼べる術をもっていた

武本の動きが止まり少しの間沈黙が続いた

武本「……は？そりゃあるだろう。山さんに最初に教わったのが必殺技なんだから、お前もそうだろ？」

またしても沈黙が続く

無性にこの会場にいる誰かさんに一撃食らわしたい気分になってきた

武本「出来るかどうかは問題じゃない、自分が使いたい。最強だと思う必殺技を思い浮かべろ！そしてそれを使えるように特訓するんだ！ってな、あの言葉には心を打たれたよ」

今俺はお前の言葉で心を撃たれたよ

なんだ？て事は他の2年全員必殺技あんのか？いや、そう言えば杉山もそれっぽいのを最後使ってたような…

よく考えたら中村と花村だって…

黒川も当たってなかったけどなんか叫んでた気がするし…

「そっか…」

ようやく口から捻り出した言葉はそれだけだった

武本「なんだ？お互いの必殺技で決めようってか？面白い、いいぞ！！」

そっか。としか言ってないのに勝手に話が進んでいく、解せぬ

必殺技を持ってない俺が必殺技対決をしないといけないらしい

まぁいいか。武本の必殺技見てみたいし

武本は薙刀を突きの体勢で構えたまま詠唱を始める

武本「我が霊力をもってして、龍の姿なりてその災いの力をもって、我が目前の全ての敵を打ち倒し給え…」

薙刀にどんどん霊力が溜まっていく

それはやがて龍？の形…龍？いや、巨大なコの字へと変化していった

武本「滅龍波っ！！」

ちょっと恥ずかしい詠唱に龍になりきれずコの字になった霊力の塊、そしてめちゃくちゃ厨二感漂う技名

一見弱そうだが威力は必殺技と呼ぶに相応しいものだった

それは俺目掛けて一直線に飛んでくる

今こんなの喰らえば完全に負ける

霊弾を何発か放つが飲み込まれる

さっきはコの字と言ったが正しくはくの字かもしれない

確かに正面から見ると何かの巨大な口が迫ってきている様に見える（龍には見えないけど…）

なんて呑気に考えていたら目の前まで迫ってきていた