第112話

あの時は確か…そう。武本の霊装武器を破壊出来る確信があったから攻撃に合わせて破壊したんだったな


今回はそうはいかない

寧ろこんな攻撃受けようもんならこっちの霊装武器が破壊されかねない


射程範囲を見極め後ろに下がって避ける


「クッソが」


確実に当たってないはずなのに右肩が斬られ血が出た


武本「取り敢えず最初の時の借りは返せたか?」


余裕な表情…ムカつくな

とは言え何をされたか全く分かんねぇ


分かんねぇけどまだ負けが決まった訳じゃねぇ!!


また霊弾を放つ

だが今度はステルス霊弾を混ぜる

おそらく武本も霊力センサーを使えるだろうが念の為…


案の定、武本まであと3mの所で反応された


武本「聞くのと体感するのじゃあ全然違うな…想像より厄介だ」


去年ステルス霊弾を見た時は最強じゃねぇか!なんて思ったもんだが杉山にも武本にも対応された

というか2年には通用する奴はいないだろう

こうなると俺の遠距離のアドバンテージはない

中距離は武本に分がある

なら…


一気に接近を試みる


が、武本はバックステップで距離を取りながら薙刀で牽制してくる


武本「いくら一太刀浴びせたからってお前相手に近距離戦挑む程、慢心しちゃいねぇよ」


流石に俺の近距離には警戒するか…




…は?


今、俺はなんて言った?俺の近距離には警戒するか?

違うだろ、俺の近距離警戒されてないんだよ


本来俺はオールラウンダーの筈だろ?

なんだってそんな事に…


そんな事は考えるまでもなかった

俺は近距離戦の技術ばかり練習してたんだから

中遠距離はステルス霊弾があれば完封出来ると思ってたんだから


そんなの本当はさっきの戦いでも分かってたはずなんだ

俺は自分の欠点から目を逸らしてたんだ


近距離戦が得意なんじゃない

今の俺は中遠距離戦が致命的に苦手なんだ


武本「よそ見してんなよっ!!」


武本が突きを放つ


そっか…多分俺は予想以上に皆が強くなってる事に焦ってたんだ

柄にもなくワクワクするなんて言ってたのも不安を消す為

自分の気持ちと状況を整理した事で落ち着いて来た


武本の突き、さっきは射程外に出て軽くかわそうとした

本来ならきっちり避けて攻撃に繋げる場面だ

余裕をかまそうとして逆に攻撃を喰らった

だせぇ…


今度もまた射程外に出る

だが今度は油断しないっ!!


バリアを張った上で武本の薙刀を凝視する


武本の腕が伸び切る

薙刀は届かない、バリアにも当たってない

そう思った瞬間刃先から霊力の刃が飛び出す


それはバリアに阻まれるが一瞬で消えた


はっ、なんだこれ

こんなのを見逃してたのか?俺は

確かに集中して見てないと気付かないレベルのスピードに武本の攻撃のキレが合わされば不可視の攻撃に見えるかもしれない


だが俺はこのレベルの攻撃を見逃すような鍛え方はしてない

つくづく自分が嫌になる


武本「チッ」


武本の顔が曇る

想定より防がれるのが早かったのだろう

タネが分かれば何も怖くは無い

このまま接近戦を挑めば勝つのは簡単だろう


でもそれじゃダメだ

中距離で武本を圧倒出来なきゃ俺に先はない

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