第111話

第5試合は山本先輩対3年男子


終始山本先輩が相手を少しずつ上回り勝利した


こうして2回戦が終わった

勝ち残った5人中4人が2年という快挙

上手くいけば2日目に出場するのが3人とも2年ってことも有り得る


なんて浮かれていたが現実はそう甘くはなかった


第1試合は篠原先輩対中村

実力差だけを考えれば中村に勝ち目はない

でもさっき見せた様な相手に合わせた作戦が篠原先輩相手にも出来るなら2割、いや3割くらい勝てる可能性があると思う

頑張れ!中村


応援虚しくあっさりと試合は終わった

終始篠原先輩の得意なハイペースな接近戦に持ち込まれ対処する間もなく負けた


そりゃあそうだ、対花村戦であれだけの動きが出来たのは実力が拮抗していて尚且つ相手の事をよく知っていたから

格上の情報があまりない相手にいきなり作戦を立てて挑むのなんて非現実的


それでも最後まで諦めず勝ちを狙い続けた中村はカッコよかったと思う


そして第2試合

そいゃあこいつとは去年も同じように向かい合ったな


武本「俺はお前が嫌いだ」


試合前にいきなりぶっ込んできた

そんな事は知ってるけどな!!


武本「お前みたいになんの努力もせず日々楽しそうにヘラヘラ生きてる奴が嫌いだ」


嫌いだ、嫌いだってなんなんだこいつは!

喧嘩売ってんのか?

お?やるか!?


武本「でもお前はそうじゃなかった。見えないとこで努力してた。それもかなり…才能もあるんだろうが強いのに楽しそうに生きるお前に嫉妬してたんだ、でも今は尊敬もしてる」


は、はぁ?

そんな急に褒め殺したって別に嬉しくなんかねぇし!!

てかなんなんだよ!これから戦うってのにやり辛ぇな!


武本「結局俺がイラついてたのは弱い自分に対してだった。でもやっぱりその弱さを俺に最初に突き付けたのはお前なんだよ…だからさ…やっぱりお前が嫌いだよ、阿部。でもお前を倒したら、やっと俺は強くなれたと自分に自信が持てると思うんだ」


なんだよこいつ、漫画の主人公みたいなセリフを吐きやがって…

ていうか闇堕ち(?)からの復活とかもあったな、なんだこいつただの主人公か


今のこいつとは霊力量も同じくらい

俺の手の内はある程度知られてる

対して俺はこいつの手の内をあまり知らない

大分不利な状況

それなのに不思議と頬が緩んでしまいそうになる

俺、余裕があんのか?

違うな。楽しみなのか…


試合が始まる


お互い無詠唱で霊装展開する

牽制に霊弾を放つ

武本は霊弾など目にもくれず薙刀で弾きながら突っ込んでくる


ある程度走ったところで地面を蹴り、跳んだ

5mくらい跳び下降する力を利用しながら薙刀を振り下ろす


この状況…1年の夏、俺と武本が初めて戦った時と全く同じシチュエーション

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