第107話

2ヶ月なんてのは長いようであっという間に過ぎていった

俺は未だに答えを見付けられていないまま選抜大会が始まった


今年の校内選抜大会は1年5人、2年8人、3年6人の計19人

2年シードは俺、3年シードは去年と一緒で篠原先輩だった

今年は人数が微妙なので3年シードが2人となった

2人目は山本先輩

山本先輩と俺は2回戦から篠原先輩は3回戦から参戦となる


1回戦は2年全員が上手くバラけて2年同士で戦うことはなかった

相手が1年と3年の中でも下位の者しか残ってなかったとは言え全員危なげなく勝ち上がった


そして2回戦

2年が全員残っている為ここからは2年同士の戦いがメインとなる


第1試合は中村対花村

試合開始してすぐ2人とも霊装展開する

霊力変換率は互いに8割くらい


花村の印象は防御力はかなりあるが、盾を遠隔操作出来るくらいで攻撃手段がない

対する中村はボールというよく分からない霊装武器で印象といってもコスパのいい弱い霊弾くらいのものだった


中村「華ちゃんと当たるなんて運が悪い」


花村「…愛ちゃんは策士…だから、全力でいくよ!」


花村の前方に巨大な盾1つと普通サイズの盾3つが現れる

巨大な盾を花村が持ち、他の3つは花村を守るように囲んで宙に浮いている


対する中村は霊装武器すら手に持っていない


花村「いくよっ!!」


掛け声と共に花村が動く

まさかの花村が先制攻撃

盾を構えたままの体当たり

単純だが攻防一体となったその攻撃は理にかなってる

だがいくら身体能力が上がっていてもそんな単純な攻撃は当たらない


そんな事は百も承知である

花村を守るように浮いていた盾が花村から離れ3方向から中村に襲いかかる

まさかの浮遊盾攻撃…

だがそれも中村の退路を防ぐ為のもの、本命は花村の体当たり


4方向からの攻撃、これは避けられない!

そう思われたが中村はギリギリの所で上に飛んだ

跳んだのではなく飛んだ

そう言えるレベルの跳躍

だがこれは中村の脚力が凄いとか言う訳ではなく足元に霊装武器のボールを出しその反発力を利用し飛んだ


花村「そこだと逃げ場はないよっ!!」


そう!今の花村には遠距離攻撃が可能

空中戦は不利だ!!


飛んでくる盾に対し中村は霊弾を放つ

盾と霊弾がぶつかる

だが小さくとも盾は盾である

防御力に優れている為、霊弾を食らった程度ではビクともしない

ただ防御を盾の面でする為一時的に攻撃を停止せざるを得なかった


中村の狙いはこれだった

先程の霊弾の中にボールを潜ませていた

霊弾がぶつかった時の煙で視界を防ぎそこからボールによる攻撃


ただ花村も恐らく霊力センサーが使えるのだろう

いち早く察知し自分の大盾でボールの攻撃を防ぐ

後は煙が晴れた後落ちてくる中村に合わせて攻撃すればいい、そのはずだった


煙が晴れるよりも早く煙の中から中村が現れた

3mくらいはありそうな巨大ボール

しかも見るからに硬そうなそれと共に加速しながら花村目掛けて落下していた


花村も慌てて障壁を張ったが圧倒的な物理攻撃の前に破れた

中村はぶつかる直前に跳んで避難していた


恐らくお互いの手の内をある程度知っていたのだろう

遠距離攻撃対遠距離攻撃も出来る盾

相性だけで言えば中村の方が不利だった

それを工夫で凌駕した中村が勝った


俺の印象だった頃の2人はもういなかった

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