第106話

その日の放課後俺はおっさんに呼び出され体育館へと来ていた


「それで?一体何の用ですかね??」


山村「おい!やめろ!なんか気持ち悪いぞ」


おっさんはクラスの皆から山さんと呼ばれ慕われていた


「弟子に対して気持ち悪いなんてひどーい」


ま、俺も呼んでて気持ち悪いけど


山村「チッ!まぁいい、今日は1つ指導してやろうと思ってな?」


それはありがたい

実際どんな修行をすればいいか行き詰まってたし、なんならこっちから教えて貰おうと思ってた


「1つと言わずいくらでもお願いしたいですけど?」


山村「悪いな、一応臨時とは言え先生だから1人にばっか構ってられないもんでよ?」


「ま、別にいいですけど。それじゃあなんで今日は?」


山村「阿部には2ヶ月しか指導してないだろ?あの時教えきれなかった事もあるし、他の皆とは教えた時間が全然違うのも不公平かと思ってな?」


そこはあんまり気にしてなかったな…

実際、期間は違うけど俺はマンツーマンで教えてもらってて、他の皆は集団で教わってる

だから一日の中で教えて貰える時間なんて知れてる…

まぁでも教えてくれるってんなら遠慮する必要もねぇ!


山村「ま、取り敢えずどんだけ強くなったか見せてみな」


おっさんとは何度も拳を交えた

戦い方もある程度分かっている、強さの底も大体知ってる


…はずだった


今俺の目の前いるのは誰だ?

ちょっと屈強なおっさんが構えもせずただ立っているだけ

それなのに…まるで、檻の中にライオンと一緒に入れられたような気分


冷や汗が止まらない

身体中の全細胞が危険信号を出している

絶対に勝てない!逃げろ、と


山村「うん。いいね、ちゃんと強くなってる」


喋ったと同時に強烈なプレッシャーから解放された

なんだ今の…殺気か?


山村「前回はこれに反応出来てなかったからな。相手との実力差が分かるようになったんだな」


うんうんと頷いている


そう、実力差

今俺は圧倒的な実力差を叩きつけられたのだ

やはりこの人は只者ではない…


山村「よし!じゃあ本題といこうか。しないからかかっておいで」


それから1時間かけて俺はボコボコにされた

どれだけ攻撃しても躱し、防ぎ、流されされる

そう。分かってはいたが自ら攻撃しないだけで反撃はキッチリとする

おっさんはそういう人間だ


山村「うん、いいね。ちゃんと鍛えてるし空手か何か覚えたな?攻撃のキレも増してる。だからこそ惜しいな」


「惜しい?何も惜しくなかったろうが…」


山村「違うな。自分に何が足りないと思う?」


「それが分かんないからおっさんを頼ってんだろ…」


山村「いいや違うね。本当は分かってるはずだ、色んな陰陽師を見てきたんだろ?彼らにあって阿部に無いもの」


図星だった…

本当はその答えのヒントを教えて貰おうと思った

でもこう言うって事は自分で考えろってことか

後2ヶ月でが見付けられるだろうか…?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る