全国大会編(2年)

第104話

あの後俺は保健室のベッドで目覚めた

保健医の先生に聞いてみたらその日保健室に運ばれたのは後にも先にも俺だけだったらしい


それ以来、あの日の戦いが脳裏に染み付いている

俺は弱いんだと、そう告げてくる

夢に見る事もあった


だがそれでいい

あの日の悔しさを忘れないように…

試験結果は二学期に入ってから分かるらしい


強くなるって言っても具体的に何をすればいいのかなんて分かってない

でもとにかく体を動かしていたかった


そんな俺の高2の夏の思い出は宿題と特訓しかない

勿論、実家へは帰ってない

今帰ると気持ちが途切れそうだから


目標を失ってなんの為に強くなるのか分からなかった俺は、強くなる為に強くなる事にした(?)


あっという間に二学期になった

終業式がないこの学校には、勿論始業式もない

夏休み明けいきなり授業をするのか?と思うかもしれないがそんな事はない

夏休み明け最初はテストから始まる

勿論1年の時もあった

事前に聞かされてなかったから全員かなり酷い目(点数)に遭った


2年目ともなると準備は万端

それでも久々の登校一発目からテストはほんとにどうかしてるとしか思えない、が愚痴っても仕方ない

淡々と3科目分のテストを終え、帰りのHRが始まる


担任「そんじゃ陰陽免許の結果言うぞ〜」


1年の時と変わらない気だるげな声


担任「分かりやすく言うと2年は1人を除いて全員受かった」


自分の中で気持ちの折り合いはつけたつもりだったがその言葉で心臓がドクンと跳ね上がる

担任の視線がこっちを向いている気がする


俺が落ちたのは分かってた…

でもあの試験で皆は受かったっていうのか?


現実を受け入れたく無い気持ちと皆への嫉妬と尊敬で頭の中がグチャグチャになる

俺は今どんな顔してる…?


担任「落ちたのは…黒川、お前だ」


「は?」


予想だにしてなかった名前に思わず声が漏れる


「今なんて?」


担任「は?夏休みボケか?黒川つってんだろ、く!ろ!か!わ!」


「なんでだ…俺じゃねぇのか?」


担任「なんでお前ぇが落ちんだよタコ!それより筆記落としたあのバカになんとか言ってやれ」


何故か俺は合格していた

そして落ちたのは黒川だった

しかも筆記だけ


そう落ちたのは黒川だけ…

黒川は今一体どんな顔をしているんだ?

恐る恐る見ると清々しい表情をしていた


黒川「いやいや、先生これは戦略的に挑んだ結果じゃけぇ。1度でも実技で合格したら在学中は実技免除かつ、1ヶ月に1回筆記試験を受けられるの知っとんよ」


担任「チッ…知ってやがったか」


教師にあるまじき発言…

というかそんなのあったの?

俺知らんかったけど?

皆は知っとったん?

はぁ〜?キレそ

俺の夏休みの頑張りはなんだったんだぁ!!

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