第97話

「くらえっ!!トライアングルショット!」


なんだ、この酷いダサさは…

鬼龍院といい陰陽師の技はダサくないといけない決まりでもあるのだろうか?


末永は左手の上に霊弾を作り出し、それをボールのようにポーンと上に軽く投げた

そしてボールを打つようにバットで打った


普通に霊弾を放つよりもスピードは上、でも鬼龍院の銃よりは下

こんなの避けるまでもない

そう、本当に避けるまでもなく俺の横を通り過ぎて行った


コントロール不足?

ならわざわざバットで打つ必要なくないか?

その答えはすぐに出た


コントロール不足ではない

むしろ狙った通りだった

俺の横を通り過ぎた霊弾の先には上下がバットを構えて立っていた


飛んで来た霊弾をしっかり捉えて打ち返す

今度はちゃんと俺の方へと向かってくる

スピードはさらに早くなっている


発想はおもしろい!

ただの霊弾を3人の力で不可避の霊弾へと変える

色々とまだまだだが、僕が考えた最強の必殺技っぽくて嫌いじゃない


でも…

所詮霊弾なのだ

霊装展開してない今だと多少ダメージを食らうかもしれないが、それだけなのだ

どんだけスピードが早かろうと避けられなくても威力は霊弾なのだ


それに…

一直線に飛んで来た霊弾を軽く躱す

早くても直線の攻撃を避けるのは簡単だ


どんなもんか見てやろうと思ったが所詮はこんなもんか…

さっさとボコして終わろう、そう思った次の瞬間俺が躱した霊弾の先に末永がいた

そしてまたもや霊弾を俺の方へ打ち返す


それもまた躱すが今度は右前がいて打ち返す

それを何度も何度も繰り返す

なるほど…トライアングルショットとはよく言ったものだ、避けられるのは想定済という訳か

少しずつだがスピードも上がっていく

正直この攻撃に縦の動きが加わったら避けられる気がしない(生身だと)

それだけのスピードの霊弾をしっかり狙った方向へ打ち返す技術と動体視力は凄まじい

何より感心したのはこれだけの連携を声掛けなしでやってるということ

もしかするとこいつらは化けるかもしれない


だがどれだけ有望だろうとやってしまった事への「責任」は取ってもらおう

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