第91話

この大会は敢えて霊装の霊力変換率について触れてこなかった

それは、ほとんどの選手が6割前後だったから


だがこの人は違う、霊力変換率9割…

他の人の変換率から察するに、恐らく霊力変換率の事は教わっていない

独力だけでここまで辿り着いたということになる、これが天才って奴か


霊装武器は藤原と同じ双剣

だが藤原よりも大きく長い

その双剣に霊力を込め振り下ろす


藤原兄「駆けろ、斬波」


振り下ろされた双剣から霊力が斬撃として飛んでいく

斬撃は霊弾に当たると、霊弾を切り裂きながらもスピードを落とさず直進する

結界にぶつかりようやく消滅した


藤原兄「ふむ…」


軽く頷いたと思ったら、全方位に向け斬撃を飛ばし始めた

霊装により上がった身体能力と発射台(双剣)が2個ある為、まるで同時に何発も斬撃が放たれているように見える


計100近い斬撃が放たれ早乙女の霊弾はステルス含め全て消滅した

それだけではなく全方位に放った事で何発かの斬撃が早乙女を襲う

単純な攻撃だが、威力、スピード共にかなりのレベル


早乙女は斬撃に対し手を前にかざす

でも霊力を感じない

これなら防御は間に合わない…当たるっ!!


バンッ!!


あと数十cmで手に当たる所だったのに斬撃は鈍い音を出しに防がれた

障壁に近いが障壁ではない

明らかに構築スピードがおかしいし障壁のように霊力を放って作り出したものでは無い

まるで突然そこに現れた、いや最初からそこにあったかのような感じがした


とはいえこの大会通して初めて早乙女が防御をした

あれだけ舐めてかかっていた早乙女は今どんな表情をしているのだろうか?


早乙女「フハッ!マジかよ。そんな乱暴な戦い方…」


何故か嬉しそうに笑っていた

…解せぬ


藤原兄は地面を蹴り接近を試みる

さっきの動きで陰陽術以外、特に早乙女自身の身体能力が高くないと踏んだのだろう


接近しながら斬撃を飛ばす

早乙女は距離を取ろうと下がる


斬撃はその全てがさっき早乙女が発動した障壁もどきに防がれる

早乙女が手をかざしていないのに発動しているという事は設置型か?

なら何故早乙女は距離を取った?


それなら、と疑問が湧き上がる

あの障壁もどきは人間の侵入、および接触も防ぐ事が出来るのか?

そこを確かめる意味でも接近することを選んだのは正解だと思う


藤原兄が障壁もどきがあった位置へと辿り着く、早乙女との距離はおよそ3m

ここで斬撃を放とうと双剣を構えた


ここで攻撃するって事は、障壁もどきは人間には干渉出来ないのか?


藤原兄の双剣が振り下ろされた…

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