第88話

アナウンス「それでは3回戦を開始して下さい」


初日突破を掛けた大事な試合が6つ同時に始まった


早乙女は相変わらず霊装展開をしない

それならすぐに攻撃すればいいものの北海道の霊装展開が終わるのを待っているように見える


早乙女「なーんだ結局こっちが来たのか。どうせ勝つんだからあの女の方が面白そうだったのに…ま、いいか」


北海道は霊装展開が完了するとすぐ様子見とばかりに霊弾を5発放つ

早乙女も同じく5発放つ

霊弾同士がぶつかり消滅する


だが2回戦までと同じ様に北海道が被弾する


早乙女「ふぅん」


実際には被弾しておらず北海道は障壁で防いでいた

2回戦までの映像を見た北海道は早乙女の攻撃が「視認出来ない何か」という仮説を立てた

視認は出来なくても攻撃は存在しているのだから、自分の周囲を障壁で覆うという作戦に出た

見事に成功し早乙女のステルス霊弾を防いだ


早乙女はどうするのか?と思ったが防がれても変わらず霊弾を打ち続けた

その間に北海道は詠唱する


北海道「たとえ見えなくとも攻防一体のこの攻撃ならどうだ!!雪壁っ!!」


早乙女「なんだ…期待して損した」


早乙女が右手の指をパチンと鳴らすと人差し指に小さな火が着いた

その火にフッーと息を吹くと火が渦を巻きながらでかくなり炎の渦と化す


北海道「クソっ!ふざけんな!!こんな事が」


北海道も必死に雪壁を作って抵抗するが炎の渦に触れた瞬間溶けてしまう

北海道の霊装武器ラジカセは詠唱した時間に比例して詠唱破棄が可能な時間が増えるが、詠唱破棄中は他の術が使えないというデメリットが存在する


何とか炎の渦の直撃は避けたが、直後霊弾の連射をモロに喰らい試合終了となった


試合を見ていた者達からどよめきが起こる

それもそのはず、陰陽術には大きく分けて3つある

形態変化。状態変化。特殊。

形態変化とはその名の通り形を変えるもの

集撃、霊弾、障壁などの基礎術もこれにあたる

状態変化とは性質そのものを変えるもの

北海道の雪壁は状態変化で雪にし、形態変化で壁にしていると言った感じ

だが形態変化とは異なり霊力の性質を変えるため、身近に触れていて完璧にイメージ出来るものでないと難しい


北海道に住んでいる者が雪の状態変化を使うのは当然の事なのだ

それに対し早乙女は火の状態変化をやって見せた

状態変化の難易度は変化先の物質が

掴める>触れられる>見れる>見た事がある>存在を知っている

という順番に並べられる

右に行けば行くほど難易度は上がり、イメージを補完する為、大量の霊力と詠唱が必要となる

今回の火はどうやっても見れる以上にはならない

それをただの学生が無詠唱で使った

本当にとんでもない事なのだ

とんでもないのに気持ち悪いと感じるのはその全てを自分の霊力を少しも使わず行っているから


とんだ化け物だ…

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