第87話

先輩が宙を舞った

試合の最初から最後まで相手にペースを握られていた

正直そこまで力の差があったとは思えない

じゃあどこが違ったのか?


試合が終わってから気付いた、相手のサポート生の姿が見えないと思ったら当たる可能性がある試合をビデオ撮影していた


たかが試合でそこまで?と思う自分がいる

でもそこまでしたからこそ、あれだけ先輩を圧倒出来たのだ

勝敗は試合が始まる前に決まっていた


試合が終わっても先輩が動かない…

藤原と急いで先輩のもとへと駆け寄った


口元へと耳を近付ける

スゥ…スゥ…と音が聞こえる

良かった意識を失っただけか

途中左肩を庇うような場面があったのと攻撃の時、足しか使っていなかった所を見ると左肩もしくは両肩か両腕に深刻なダメージがありそうだ


そんな状態ならある意味勝てなくても良かったかもしれない

こんな大舞台でも怪我を直せる陰陽師なんていないし、そもそも存在しない

怪我をしたからと言って試合が延期になるなんてこともない


先輩は医療班に医務室へと連れていかれた

起きてから色々検査をするそうだ

時間はあるから3回戦を見てくるよう言われた


と言っても休憩の1時間もあるし何して過ごそうか…

藤原は先輩の傍にいると言っていたので俺は1人でブラついていた


ブラついていると負けた事をじわじわと実感し始めた

自分が戦った訳じゃないのに悔しい…

俺ならどう戦っただろうか…

霊力センサーがあるからもっと早く行動していたか?

あの壁は厄介だ、囲まれたらどうする?

それに相手は手の内を出し尽くしてはないだろう…


北海道「やぁ!君っ!岡山のサポート生だろう?」


丁度脳内で戦っていた相手の声が聞こえたので思わず攻撃態勢を取りそうになった


北海道「?あれ?違ったかな?」


「あ、いや…そうです。何か用ですか?」


北海道「代表の彼女、大丈夫だったかい?死んでは無いのは分かってるんだけど、俺も必死だったから。最後はかなりキツいの当てちゃって…」


対戦相手の事を心配するなんて良い人なんだろうな…


先輩の話から始まってちょっと雑談をした

その後サポート生がやってきて3回戦の対策会議をしていた

勿論俺は口を出していない


早乙女のステルス霊弾の対策やどう攻撃するか?など時間ギリギリまで会議は続いた

なるほど…先輩の時もこうやって…


元よりあのいけ好かない早乙女にはぶっ飛ばされて欲しかったが、北海道代表に情が芽生えたので是非とも勝って欲しいと思った


そんな思いとは裏腹にあっけなく早乙女が勝ってしまった

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