第86話

体に鞭を打って立ち上がる

すぐに動け!

壁なんて避けてしまえばっ!


北海道「無駄だって!」


壁を避けるように移動しようとした瞬間、先程と同じ霊力反応を感じた

今回はダメージで踏み込みが浅かった分なんとか止まることが出来た


だが四方を巨大な雪の壁に覆われてしまった

迂闊だった

でも嘆いても仕方ない

今やれる事をやるしかない

特訓で覚えたのは霊力センサーと戦い方だけじゃない…

これが僕の切り札


篠原「払え給え。払え給え。我が量の足に宿りて邪悪を払え給え、集撃」


集撃。

ただの集撃ではない、阿部くんに教えてもらった僕専用の詠唱による集撃


集撃で強化した場所の重さを2倍にして、かつ威力を3倍にする

普通なら重さで上手く攻撃出来ない、でも上手く攻撃出来たらその威力は3倍どころか4倍、5倍にもなる


重さのデメリットを解消する為に霊装の霊力変換率を上げる

極限まで集中する事で変換率を5割から7割に

これで重さによるデメリットはほぼ解消される


ただこの状態は霊力の消費量が激しくて、今の僕だと持って3分…


いくぞ…


篠原「押忍!!」


右足で蹴る、雪壁にはヒビが入るが破壊には至らない

今度はこっちだ!


篠原「押忍!!」


右足を戻しながら回転して、左足で後ろ回し蹴り


バコンッ!!


雪壁は破壊されボロボロに崩れ落ちた


北海道「やるなっ!!でも無駄だ」


これで勝てるほど甘くはない

すぐに新しい雪の壁が作られる

こうなったらどちらが先に霊力が切れるか我慢比べといこうか!


破壊しては作る、破壊しては作る

そんな攻防が続いた


今何分経った?1分くらい?

でも普段より消費が激しい…


それもそのはず、ただでさえ冬で寒いのに雪に囲まれながら戦っているのだ

アドレナリンが出ていて気付いていないだけで体温が奪われ、体力をと霊力をいつも以上に消費している


北海道「予想以上にけっぱるな。これでまだ2年なんて末恐ろしいわ」


壁を破壊した

先程までと違い壁がすぐに作られない

開けた視界の先には相手がいた

この状態でいられる時間は残り少ない

振り絞れ、最後の力


北海道「尊敬と敬意を持ってきっちり倒してやるよ…雪壁みだれ咲き」


前方から無数の霊力反応

壁を作らなかったのはわざとかっ!…クソっ!誘導されたっ!!

前方から無数の小さな細長い雪の塊が襲ってくる

ただでさえ避ける力なんて残ってなかったのにこれではどうしようもない


…完敗だ


北海道「もしも初戦で当たっとったらそこで寝てたのは俺だっただろうな。アンタの敗因は運と経験不足と覚悟の強さだ」


そう呟く北海道の声は篠原には届かない

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