第84話

初戦は順調に終わり1時間の休憩を挟んだ後2回戦が開始される


俺達は休憩時間、特に何をするでもなく席に座っていた


「先輩は誰の試合見てたんすか?」


篠原「特に決めずに盛り上がってるとこ見てたよ」


先輩らしいな


「そいやぁ、次当たるのどこの代表でしたっけ?」


篠原「えーっとね、確か茨城に勝った北海道の3年生じゃなかったかな?」


さっき早乙女と戦っていたのが沖縄だった事もあって、北海道と聞くと本当に全国から来てるんだなと改めて実感した


藤原「北海道…強そうね」


篠原「雪玉とか投げてくるのかな?」


藤原もいつの間にかいつもの調子に戻っていてそんな冗談を交わす余裕すらあった

1時間って長ぇと思ってたけど、喋っていたらあっという間に過ぎた


篠原「じゃあ行ってくるよ!!」


俺は先輩が1回勝つ度に5万貰えるという最大の目標を忘れ、ただただ篠原先輩が勝ち進むのを応援していた


1回勝っただけなのにこのお祭りのような雰囲気に浮かれていたんだと思う

試合が始まってようやくその事に気付いた


アナウンス「それでは2回戦を開始して下さい」


アナウンスと共に選手達が一斉に霊装展開する

相手の霊装武器は…なんだあれ?


「相手の武器なんだか分かるか?」


藤原「よく見えないけど…ラジカセ?」


俺の見間違いでは無かったようだ

音楽を聞いて戦うスタイル?いやそれじゃあ武器とは呼べないし…


相手はラジカセを地面に置き霊弾を連射する

初戦と同じ様な光景、この調子ならこの試合も勝てそうだな


試合が始まってはや1分

安心して見ていたがどうも様子がおかしい

先輩はダメージこそないが初期位置から殆ど動けていない

まるでそれが目的のような…


っ!!


「ヤバい!!」


藤原「えっ!?何がヤバいの?」


ここから叫んだとて先輩には声は届かない

でも!今のままじゃ先輩は負ける


「せんぱーい!!相手は詠唱してるぞ!!」


そう、霊弾はほんとにただの時間稼ぎだった

俺の叫びも虚しく相手の術は完成してしまった


霊弾の連射が止まった


北海道「アンタ強いのにいたましいね。ここはお遊戯会でも思い出作りでもないんよ、都道府県の代表として全てを使って勝つとこなんよ」


篠原「もう勝った気ですか?随分余裕ですね」


北海道「アンタはもう俺にちょせんよ!したっけ、俺にやられてわやになる前に降参勧めるけど?」


篠原「何言ってるか分かんないけど…馬鹿にされてる事だけは分かる!!」


2人が何か話してたと思ったら今度は先輩から仕掛ける


北海道「雪壁っ!!」


先輩が最高速度に達する前に巨大な雪の壁が目の前を塞ぐ

急な事に先輩は止まることが出来ずに壁に激突する

壁は無事で先輩だけが弾き飛ばされる

全力じゃないにしても先輩のタックルを食らって無事なんてなかなかの硬さ

さっき詠唱していたのはこれか

でも詠唱に時間がかかる術なんて先輩にかかれば…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る