第83話

藤原「ステルス霊弾…か」


そう。何故沖縄は回避したはずなのに被弾したのか?

その答えがステルス霊弾だ

早乙女は普通の霊弾を放つと同時にステルス霊弾も放っていたのだ

しかも放った後の動きを操っていた

霊力センサーが使えない奴には何が起きたか分からない、かなり上手い使い方


順当に行けば先輩は3回戦で早乙女と当たる

だが先輩は修行の成果でステルス霊弾は効かない

早乙女の自信がステルス霊弾から来るものなら先輩が打ち砕いてくれるはず!


…とここまで僅か数秒

ん?いるはずのない藤原の声が聞こえた気がする


「うわっ!?」


隣を見たら本当にいたのでビックリした


藤原「いや、驚きすぎでしょ」


「いつからいたんだよ声かけろよ」


藤原「普通にいたわよ、それに声もかけたでしょ。今」


「今て…」


藤原が来たのにも気付かないほど集中してたのか?俺は

それよりも…


「最近どした?」


藤原「何の事よ」


「お前のことだよ、明らかに様子おかしいだろ」


藤原「ッ!!……そう。気付いてたんだ」


「そりゃ気付くだろ。なんか顔色も悪いし」


藤原「んぁー…んー、えっと…いや、まぁいいや。ちょっと余計な事を思い出しちゃってね」


こういう時どう反応したらいいのだろうか?

コミュニケーションレベル1の俺には難しい

悩んだ結果、自分が気になってる事を聞くことにした


「あいつ…早乙女となんか関係あんの?」


藤原「関係ないって言うと嘘になるけど直接はないかな」


「なんじゃそら」


藤原は数秒俺の顔を見た後大きなため息をついた


藤原「はぁ…ま、いいか。あんたならもう分かってると思うけど早乙女くん霊力が少ないでしょ?」


少ないって言っても並級はあるけどな


「うん」


藤原「彼、早乙女くんの家は私の家と同じで陰陽師の名家なの」


ふーん

メイカね、メイカ

ん?誰だそれ


「え」


藤原「え、何驚いてるの?」


「名家って言った?メイカじゃなくて?」


藤原「?何が違うのよその2つ」


藤原の家はやたらと金持ちだと思っていたけどそういう事だったのか…

そりゃ霊力も高い訳だ


藤原「まぁいいわ!で、名家なのにあの霊力量でしょ?陰陽師にとっては霊力量が全て。名家ではかなり酷い扱いをされるのよ…」


そう言う藤原の顔が少し曇った


藤原「彼は去年まで早乙女家の失敗作と呼ばれてたの」


酷いな…

霊力量が少ないだけで失敗作かよ


「ん?去年まで?」


藤原「そう。去年ぐらいから早乙女家の失敗作が覚醒したって噂が流れ始めたの。手のひらをひっくり返すみたいに…その変わり様があまりにも凄まじいから、まるで安倍晴明の再来とまで言われていたわ」


安倍晴明の再来…

でも1つひっかかる


「でもなんであいつは霊力が少ないままでそこまでの強さを身に付けられたんだ?」


藤原「私も知りたいわよ。今日見ても全然分かんなかったし」


結局何で藤原の様子がおかしかったのは聞くことは出来なかった

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