第78話
陰陽免許…
その言葉にその場にいた全員が様々な表情を見せた
それもそのはず
陰陽免許とは、陰陽師として活動する際絶対に必要なものだからだ
これがないと陰陽会が定める場所以外で陰陽術を使う事が出来ない
本来なら3年時に陰陽師として活動する事を希望した生徒が夏に試験を受ける
それでも全員が受かる訳ではない
最低限のボーダーラインは霊力が下級以上かつ戦闘能力が一定以上ある者でないと駄目
とは言え取得出来なくてもサポート課や他の職業へと就職する事は出来る
むしろ岡山支部校で陰陽免許を取得出来る生徒の方が少ない
いわば全生徒の「憧れ」のようなもの
普段なら脊髄反射で何かを言う黒川でさえ固唾を飲んでいた
まぁ結局最初に喋るのは黒川なんだけど
黒川「流石にそれは…いくらなんでも」
担任「確かに私は取ってもらうと言った。でも全員に取ることを強要するつもりはない。別に3年になってから取ったっていい」
黒川「じゃあなんで…」
担任「強要するつもりはないが取って欲しいとは思ってる。いや、取れなくても取れるだけの実力、またはそれに近い物を身につけて欲しいと思っている」
武本「なんでそこまで!?」
強要しないと言いながら強要紛いのことを言う担任に武本までもが反応する
担任「この1年でこの学校への襲撃事件が2度起きている」
俺を含めた全員が曇った表情になる
その時の光景を思い浮かべているのだろう
出来れば思い出したくない記憶だ
担任「これは異常事態だ。校長を狙った可能性は高い、だがそれでも異常だ!!普通、陰陽高校への襲撃事件なんてのは10年に1度あるかないかなんだ…私はそんな異常事態のせいで自分の生徒を失いたくない」
普段適当な担任の珍しく真面目な表情
それだけでやる気が少し湧き上がる
ほかの皆の表情を見る限り同じようだ
それに元々否定的な訳では無い
強くなれるなら大歓迎だ
担任「ちなみに今この場にいない2人には特訓はつけないし免許の事も伝えてない。阿部に関しては既にそのレベルに達してるし、藤原も自分で到達するだろうからな」
誰も聞いた訳では無いのにそんな事を言う
俺が目を逸らしていた事を叩き付けてくる
ちょっと前までは何も出来なかった正晴が今では俺達の遥か先にいる…
別にライバル心とかある訳じゃない
でも友達として横に立って戦いたいと思う…
山村「俺の名前は山村だ。君達を強くする為に連れてこられた!ちょーっとだけキツい事もあるかもしれない、それでも俺との特訓をやり遂げたなら確実に強くなれる」
担任が連れてきた髭のおっさんがいきなり喋った
黒川「おっさん強いの?」
名前を名乗ったのにおっさんって…
山村「あぁ、強いぞ!!君達の担任の師匠だからな」
担任「おまっ!それは言わなくていいだろ」
そう言われた担任の表情は今まで見た事無いもので、本当に師匠なのだと分かった
この人に教われば強くなれるかもしれない
そんな希望を胸に抱いていた俺達はこれから始める
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