第77話

いつ頃からだろう?一学期のある日から始まった放課後の特訓

最初は我武者羅に頑張る正晴を応援するのが目的だった

人数も4人と少なかった

それなのに気付けばやるのが当たり前になっていた


それは特別な事(テスト勉強)がない限り毎日続いた

やる事によって何かが劇的に変わった訳じゃないけど、やらないといけない

やるのが当たり前になりつつあった


するといつからか人数が増えた

ついには担任まで参加し始めた


二学期になってもそれは続く

正晴が短期留学にいっても変わらない

もはや俺達の日常になっていた

そんな日常に今日また変化が訪れた


武本「大会の時の事、本当にすまなかった…」


あれだけ頑なに特訓に参加しなかった最後の1人が頭を下げながら仲間に入れて欲しいと言ってきた

俺は直接被害を受けた訳でもないしこれだけ謝ってくれるなら別に異論はない

この様子なら今この場にいない正晴にも謝ってるんだろうし(※謝っていない)


他の皆も概ね同じ様な感じだった

ただ皆の視線は1人に集まる

直接被害を受け、何なら生死に関わるレベルの事をされた彼女…


花村「はへっ!?えっ?えっ?」


そんな彼女は皆の視線に気付き変な声をあげて何がなにやらと言った様子

そんな彼女へ声をかけたのは当事者だった


武本「僕は、君に…いや花村さんには謝っても許されない事をした」


花村さんは少し考えるような表情をしてから口を開く


花村「私は気にしてない。だって武本くん操られてたんでしょ?」


さも当たり前のように言うが、本心でそれを言えるのは本当に凄いと思う

だが対する武本は納得がいかない表情をしていた

その気持ちも分からなくもない…


花村「それでも納得出来ないなら…罰としてあの時の事ちゃんと考えて見て欲しい。本気だから…」


顔を伏せ距離を置く

相変わらず前髪は長いのだが顔は真っ赤になってるのが容易に想像つく


対する武本は茹でダコのように赤くなっていた


なんとも微笑ましい青春の1ページなのだがそれが面白くない男が俺の隣にいた


黒川「クソ…なんであんな危険な奴がモテて俺がモテないんだよ!!クソっクソっ!」


そう言うとこだぞ…

と言いたいのを我慢する


それにしても授業中はいないくせに放課後になった途端やって来る我らが担任の姿が見えない

珍しい事もあるものだ…

そう思っていたら知らない男を連れてやって来た


その男は筋骨隆々な体に無精髭を生やし、白い道着を身に纏っていた


担任「お前らには2年になったら陰陽免許を取ってもらう」

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