第75話

正式にサポート生となった俺達は篠原先輩の特訓の相手をする事になった


篠原「ねぇ、阿部くん。1つ聞いてもいい?」


「まぁ、答えられる範囲なら」


篠原「ぶっちゃけ君、僕より強いよね?」


おぉ…これが噂(黒川)に聞く僕っ子って奴か、初めて見たなぁ

ん?

てかいきなりぶっちゃけ過ぎでわ?


「んーどうすかね?条件次第ではそうかもしんないすね」


ぶっちゃけにはぶっちゃけを

嘘は良くないよな、うん


藤原「ちょ!あんた!!」


篠原「ははは!いいんだよ、るなっち。あの試合見てたら嫌でも分かるさ」


るなっちて…いつの間に仲良くなったんだ

てかあだ名の付け方黒川っぽさあるな


「いや、まぁでも本当条件次第っすよ。」


藤原「ふーん。その条件てのは?」


「霊装の霊力変換率って分かります?」


藤原はその一言だけでなんとなく分かったのか、ハッとした顔をしていた

この勘の良さというか、察しの良さもこいつの強さの秘訣だよな


対する篠原先輩は何が何やらと言った感じ

薄々感じてたが俺らの担任が怠けてるって訳じゃなく2年生達も教わってないみたいだな


「簡単に言うとどれだけ霊装を上手く使えるかってことですよ」


篠原「なるほどねー。僕はそういうの苦手だからな…」


まぁ確かに脳筋ゴリ押しだもんな


「俺は先輩の2倍上手く使えます。だから全力なら負けません」


藤原「ちょ!それって…」


そう、つまり

本気を出せば負ける要素はないと言っている


「でもそうですね。それを先輩と五分ごぶにするとか霊装、霊力なしみたいな条件で戦えばどうなるか分かりませんね」


篠原「ふむふむ。つまり僕がこの1ヶ月でやるべき事は相手をその土俵に連れ込む、もしくは得意分野を伸ばすって事かな」


割と厳しいことを言ったつもりなのに全然気にしてない辺りメンタル強いな


「そうっすね。先輩はなんか格闘技やってますよね?近接戦闘ではそれが何よりの武器だと思います」


篠原「恥ずかしながら家は空手の道場なんだよ。だから僕もこんなだし男の子みたいだよね、ははっ…でもそれが今では強みになってるから嬉しいのさ」


「いや、先輩普通に可愛いっすけどね」


一瞬場の空気が凍った


先輩は顔が真っ赤になり

藤原はなんかプルプル震えてる


2人ともどうしたんだ?

普通に思った事言っただけなんだけどな…

あれ?前にもこんな事なかったっけ?


その後も変な空気は流れたが取り敢えずの方針は先輩の長所を伸ばす事に決まった


流石に俺が一方的に教えるのは面白くないので、アドバイスする代わりに空手を教えてもらう事になった

藤原には勉強を教えてもらう事にした

テストは免除されてもわかんない所があるのは気持ち悪いし学年末テストもある

教わっておいて損はないだろ


こうして特訓初日は話し合いだけで終わった


「じゃあ今日は解散って事でまた明日から頑張りましょ!!」


藤原「篠原先輩お疲れ様でした!」


帰ろうと歩き始めた瞬間、背中に突き刺さるような殺気を感じた

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