第73話

黒川「あべちゃん最近、篠ちゃん先輩来ないじゃん」


確かに

中村は相変わらずなのに…


「せやな」


黒川「かー!これがモテ男の余裕ってやつか?美少女2人に言い寄られてますって?かー!!ムカつくぜ」


うるせぇなコイツ…

俺にとっては先輩が来ない方が嬉しいんだよ


それより昨日から藤原がなんかソワソワしてる気がする

いつだって授業に対して真面目な藤原がキョロキョロしてるのはなんだか新鮮だった

何を待ってたのか知らないがそのまま授業は全て終わった


担任「阿部と藤原ー。ちょっとこっち来い」


陰陽術の授業が終わると同時に担任がやって来た(いや、授業中も居ろよ)

藤原の方をチラッと見ると小さくガッツポーズをしていた

なんだか嫌な予感がする


嫌な予感とは的中するもので…

俺は校長室へと連れられた

入学してから何度目だろうか?


校長「やぁ、待ってたよ2人とも」


藤原の方をチラッと見る

もしかするとガッツポーズは校長に呼ばれたからかもしれない

そんな淡い期待を抱いていたがやはり違うようだ

というか想定以上に落ち着いてる

校長狂いの藤原のくせになんかおかしいな


校長の視線を感じる

なんなんだよ!なんなんだよ!感じ悪いなぁ!もう!


「話ってなんですか?」


藤原「ちょ!阿部っ!!」


ちょっとムカついたのでストレートに聞いたら俺の態度に驚いた藤原のビンタが背中に炸裂した


「んだよ!ってぇな!」


藤原「何なのよその態度は!校長先生に失礼でしょ!!」


校長「2人は仲が良いんだね」


口喧嘩する俺らを見てそんな事を言う

目付いてんのか、こいつ

藤原の方はハッとしてすぐ言い合いをやめた

顔もほんのり赤く照れているようだった

どんな感情だよ!


校長「さて本題といこうか!君達2人にはサポート生として篠原くんと全国大会に行って欲しい」


「サポート生ってなんすか?」


校長「名前の通り校内の代表者をサポートする生徒の事だよ。代表者1人につき2人、全国大会までの特訓相手や本番での色々なサポートをするんだ」


嫌な予感が完全に的中してしまった

この様子だと入れ知恵したのは藤原だろう…

あの人俺とバトルしたいが為にとんでもない制度を使いやがった


校長「ただ別に断ってくれてもいい。」


え?

急に追い風がやってきた

あの人と戦うのも面倒臭いのにサポート生なんかになると勉強時間なんて取れるはずがない


校長「本来サポート生は大会の2位と2年の中で最優秀者が選ばれるんだ」


「??2年の方は置いといても2位なら山本先輩は?」


校長「本来ならそうなんだけどね、篠原くんがヤダって言うもんだから…サポート生の1人は代表者の補欠の意味もあるから2位を選ぶんだ。だから明確に決まってる訳でもないんだよね」


そう頭を抱えながら言う校長から哀愁が漂っていた

校長も苦労してるんだな…


「ちなみになんで嫌なんすか?山本先輩も強いですよね?」


校長「「あいつは胡散臭い!」だそうだ…」


なんて適当な理由なんだ…

校長を困らせている原因の1人であろう奴に視線を送る

目が合ったと思ったら思いっきり逸らされた

はい!アウトー!!


「お前、後で覚えとけよ」


隣の犯人に聞こえるくらいの小声で呟いた

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