校内選抜大会編②ー閑話

人生初の恋をして

人生初の失恋をした

なんとも言えない喪失感となんとも言えない満足感があった


流れそうになる涙を必死に堪え

溢れ出た涙を拭った

こんな顔を誰かに見られないように

でもやっぱり誰かには話したくて

慰めてほしくて

「桜井守り隊」(33話参照)のVineにメッセージを送った


俯きながら歩いていたら、今1番会いたくない人物と鉢合わせした


担任「……」


この人の事だ

泣いてる俺なんか見たら

ひたすらバカにするに決まってる

今そんな事されたら暴れるかもしれない

……逃げるか


担任「待て!いや、待ってくれ」


逃げようとした俺を引き止めた担任に茶化すような雰囲気はなく

真剣な表情をしていた

一体なんなんだ

先輩に少し似てるから顔見るのも辛いんだが…


「なんすか」


担任「今回の件、本当にありがとう。助かった」


丁寧にお辞儀をしてお礼を言われた

別にそこまでの事をしたつもりはない

修行は確かにちょっと…いや、かなりしんどかったけどお陰で強くなれたし


「いや、別に。先輩が喜んでくれたなら良かったです」


担任「そうか?いやでも学校まで欠席させて…」


「いやいやホントに大丈夫ですって!」


担任「そ、そうか?ならいいか…ゴホン」


あれ?なんだかいつもの顔になってる気がする


担任「て事は涼子ともう話したのか?」


気のせいではない

さっきまでの真剣な雰囲気がなくなっている

喋り方もいつも通りだ


「はぁ、さっき話しましたけど」


担任「やっぱりぃー?て事はフラレた?まじー?笑だから泣いてたの?笑」


「は?」


………


担任「強くなったみたいだが所詮はまだまだガキだな!!フラれた程度で泣くなよー笑。ダッサ!!」


………


落ち着け俺

ちょっとしおらしくしていたから忘れていただけじゃないか

この人はこんな人…いやこんなクソ野郎だ


はぁ…

なんでこんな悪魔みたいな奴と細見先輩が姉妹なんだろうな

良心全て細見先輩に持っていかれたのだろうか?


担任「あ?お前今失礼な事考えてたな?」


勘まで鋭いときた

いつもの俺なら流してるけど

今の俺をいじった奴が悪い


「なんで細見先輩と違って性格がクソなんだと思いましてねぇ!!あーだからその年でまだ独身なんすね!ざまぁーみろ!」


フラれた腹いせとイジられた怒りで普段絶対言わない事を言ってしまった


勿論その後ボコボコにされたのは言うまでもないが、後悔はしていない


一段落して部屋へ戻るとVineの通知がえげつない事になっていた

流石女子、恋バナ好きだな…

そうして俺はその日は夜更かししながら2人に色々と話した

お陰で気持ちの整理が出来たしスッキリした



だが俺は偶然告白した現場を見ていたある女子が人知れず恋を頑張る事を決めたのをまだ知らない

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