第65話

武本が口に入れたもの、チラッとしか見えなかったが薬のようなものだった

恐らくあれが武本がおかしくなった原因だろう

なら、今の状態で飲むとどうなるのか…


まずいい結果にはならないだろうってことは分かる

ならさっさと吐き出させるまでの事

腹殴りまくって無理矢理吐かせてやる


武本「がああああぁぁぁぁ!!!!」


薬を飲んだ武本が急に叫び始めた


武本「ぐおおおおぉぉぉぉ!!!!ああああぁぁぁぁ!!!!」


唸るような、獣のような叫び

見るからにヤバい、うかつに動けない

武本は叫びながらとんでもない霊力を周囲に撒き散らす

それは動き自体はゆっくりだが10倍の霊弾並の霊力が込められていて触れれば死んでもおかしくない


そんな状態が続けばすぐ霊力が尽きそうだが、武本の保有霊力は俺じゃあ認識出来ないレベルまで跳ね上がっていた

それどころかまだ増えてる

それと同時に辛うじて紫色を保っていた保有霊力がついに真っ黒に染まってしまった


もう流石に俺の手に負える状況ではない

先生や校長達がなんとかするだろう

逃げるか?いや、叫びながらも武本の目は俺を捉えてる


武本「グオオオオォォォォ!!!!」


またしても叫ぶ

だが先程までとは違い、野太く獣のような叫び声が響き渡る

武本の肌は保有霊力と同じ様に真っ黒に染まり、背中から蝙蝠コウモリのような黒い羽が生えた


こんな異形の生物の名前、俺は1つしか知らない…


???「素晴らしーい!!!!まさかこれ程のものとは、想定通り…いや想定以上でしょう!!!!」


生徒達がいるのとは反対側のギャラリーに黒いローブの男が現れた


先生「おい!なんだお前!訳の分からない事を言うな!」


3年の担任の先生が黒ローブに近付く


???「これでまた1歩我らの悲願へと近付いた…」


先生「おい!無視するな、お前!!」


3年の担任は黒ローブを捕まえようとした


???「世界の救済を!!我ら宵闇に栄光あれ!!!!」


3年の担任の手が触れる前に黒ローブは自分の喉を掻っ切って自害した


校長「クソっ!!まずい!全員すぐ避難するんだ!!」


先程まで霊力の反応がまったくなかったのに校長がいきなり現れ叫ぶ


黒ローブの死体が空中に浮き上がりグルグルと回転する

それは黒い渦となりだんだんと巨大化していく

渦はすぐ大人3人分くらいの大きさになるとそこから小鬼が現れる

次々と現れる小鬼、青鬼だけでなく赤鬼もいる


急な事に生徒達はパニックへと陥る

先生達が落ち着かせて避難をさせようとするが聞いちゃいない


でも今の俺はそれ所じゃなかった

霊力センサーを使えるようになってから怪異を見るのは初めて

だからこそ変わってしまった武本を見ても怪異だと断言出来なかった

だがその答えはすぐそこにあった

怪異もまた保有霊力を持っていて、それは武本と同じく真っ黒であった

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