第64話

武本はまたもや真っ直ぐ突っ込んでくる

さっきはいきなりの事で面食らったが、来るのが分かってれば対応出来る


動くのを見てからじゃ回避出来ないなら動く前に回避すればいい


陰陽師が動く時、実際に体が動く前に霊力の揺らぎが発生する

修行のお陰でその揺らぎを見れば相手の動きをほぼ100%予知する事が出来るようになった

おっさんレベルになるとその揺らぎでフェイントを掛けてきたりするが、そんなレベルの陰陽師は殆どいないだろう


なんなら武本は一直線にしか動かない

来るタイミングと場所さえ分かれば避けるのなんて誰でも出来る


武本が来るっ!!

俺目掛けて右拳を振り下ろす

が、それは俺には当たらない


ドカンッ!!


攻撃した方の武本が爆発する

理由は簡単避ける瞬間に霊弾を打ったから

と言っても避けながら打ったんじゃ当たらないから、武本の拳が来るであろう所に爆発する霊弾を待機させるという高等技術を使った


ま、そんだけやってもノーダメだろう


爆煙が晴れ、姿が見える

ほらな?武本はピンピンしてやがる

ピンピンはしてるが俺に避けられた事に驚いてる顔をしていた


目が合う


俺は人差し指でクイッと挑発した


また突撃してくるので避けて爆発を浴びせる

そんな事を2、3回繰り返した

流石に攻撃が当たらないと分かったのだろう

壁から壁へと移動し軌道を読ませないように動いてきた


まぁ、でも関係ない

俺が見てるのは霊力の揺らぎだから

最後に仕掛けてくる瞬間さえ分かれば避けられる


だから、こうなる


武本「死ねクソがぁぁぁぁ!!」


またもや華麗に避ける

だが今回は霊弾じゃなく腹に蹴りを浴びせる

俺単体の攻撃じゃあダメージは無いだろうが、自分のスピードによる勢いが加わる事で相当な威力となるはず

モロに食らった武本は吹っ飛ぶ

ダメージを与えたのはこっちなのに足が痛い

ホームラン打ったのにバット折られたみたいな気分だな


武本「なんでこうなる…」


結構なダメージのはずなのに普通に立ち上がってきた

でもなんだか様子がおかしい


武本「なんで当たらない…なんで勝てない…なんで…なんで…なんで……」


武本「なんでお前みたいな奴がっ!!」


何か呟いていたかと思えば急に矛先がこっちへと向いた

いや怖いなこいつ


「うるせぇ、文句があるならかかって来いよ」


武本「なんでお前みたいな何も考えず日々のうのうと生きてるような奴が…」


カッチーン

今こいつなんて言った?


「おいおいおい…おめ…」


武本「なんでお前なんかが!僕より強いんだ!!」


めちゃくちゃ叫んでる

自分よりヤバいやつを見ると少し冷静になる


武本「僕は…僕は……全てをかけて…毎日、毎日…父さんと…母さんの為に……ただそれだけの為に…なのに!なのに!なのに!!」


ちょっと待て、こいつ

もしかしてやたら俺の事を敵対視してたのは楽しそうに生きてる俺の方が強いからって言うただの妬みなのか?


武本「僕のほうが強くないとおかしいだろ!!!!お前みたいな奴がああああぁぁぁぁ!!!!」


さっきから同じような事繰り返し叫んで何なんだよ一体

そう思ってたら急に静かになった


武本「もういい…全部壊そう」


最後に何かを呟いたと思ったら口に何かを入れた

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