第61話

そして初日最後となる3回戦が始まる


第1試合は篠原先輩対3年男子

鬼龍院のお付②のくせに鬼龍院よりいい成績を残し破竹の勢い(相手は1年のみ)で勝ち上がってきた

ここでも相手は下級生なんともクジ運がいい男

勢いそのまま勝ってしまうのかと思ったが、篠原先輩の実力は本物だった

攻撃を全て躱し最後は顔面への強烈な一撃で勝利を飾った


第2試合は細見先輩対武本

結果は見るまでもない

それは細見先輩も分かってたはず

でも棄権せずに戦った

3年としてのプライドだろう


だが2回戦の終わりから更におかしくなった武本は細見先輩をいたぶる様に攻撃した

わざとダメージが浅いところへ攻撃し、立ち上がるのを待つ

そんな事を繰り返し、ついに細見先輩は立てなくなった


幸い命には別状なかったが武本を殴る理由がまた増えてしまった


第3試合

第2試合のせいでフラストレーションが溜まりまくっていた俺は、それを対戦相手にぶつけてしまった

試合開始と同時に霊装展開、相手が霊装展開する前に壁まで蹴飛ばし顔のすぐ横へ全力パンチ

相手はへたりこんで降参した

俺はそこでようやく対戦相手が女子だと言う事に気付いた

それ程までに頭に血が上っていたのだ

今思えば申し訳ない事をしたと思うけどその時の俺にはどうしようもなかった


そして選抜大会初日が終了

勝ち残ったのは2年首席の篠原先輩、1年は武本そして俺、と3年が1人もいないという前代未聞の結果となった


俺は武本への怒りを少しでも収めるべく

早めに寝りについた



――そして迎えた2日目


今日の予定は準決勝2回に決勝戦の計3試合となっている

ただ昨日勝ち残ったのは3人


ではどうするか?

昨日1回戦で負けた者で敗者復活戦を行い

勝利した1人を最後の1人とする

そう発表された


とは言えまたトーナメントをする訳にも行かないので全員参加のバトルロイヤルとなった

ちなみに敗者復活戦は希望者のみとなっていて辞退したのは1人だけだった…

勿論その1人は不幸にも肋骨を折ってしまった彼である

その為出場者は、1年から中村と桜井

2年は男子3人(山本先輩含む)に女子1人

3年は男子3人(お付①含む)の計9人


バトルロイヤルにおいて序盤で大事なのは数をある程度減らす事

その為、必然的に狙われるのは1年となる

これに対し中村と桜井は一時的に協力する事で乗り切ろうとしたが健闘虚しく破れた

その騒動で2年の男子2人も破れた

残るは5人…のはずなのに会場では4人が戦っていた

山本先輩はどさくさに紛れ寝たフリをしていた


他の4人はまさかそんな珍妙な奴がいるとは夢にも思わず準決勝進出を目指して戦った

4人の中で2年は1人だけ

かなり奮闘はしたがあえなく敗退

残るは3年3人だがその中でもお付①は実力が1つ抜けていた

鬼龍院のお付に選ばれるだけあってそこそこ優秀なのだろう


それを分かっている2人は2対1でお付①を攻めた

それでも上手く戦いなんとかお付①が勝利


お付①「これで鬼龍院様の側近として…」


山本「ごちそうさまっす!」


完全に油断してる所へ死角から一撃

こうして準決勝進出は山本先輩に決まった


この戦い方を見る限り山本先輩が藤原に負けたのはわざとだろう

あのまま勝ち進むより簡単そうな方を選んだんだ

食えない人だな

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る