第59話

鬼龍院の銃から放たれたのはただの霊弾だった

違う所と言えば、まず見た目が2回りくらい小さい事

そして込めた霊力は普通の霊弾と同じなのに、銃から放たれた瞬間、霊力が1.5倍くらいになる

さらに速さも1.5倍

つまりあの銃は込めた霊力の1.5倍の強さの霊弾が打てるプラス連射出来るって感じか?


なるほど、確かに普通に強い

ただそれだけ

普通に強いだけの奴が校内最強と呼ばれる訳がない

何かあるはず…

なるべく慎重にいこう


修行でずっと霊弾を撃ち落としてきた癖で霊弾を見るとつい撃ち落としそうになるが、それをグッと堪えて我慢


ギリギリまで見極めて避ける

霊弾は普通に地面に着弾し、消滅


あれ?普通の霊弾じゃね?


次の霊弾が飛んで来る

これもギリギリで避ける、また消滅


あれ?マジ?

その後も何十発と霊弾を放ってくるが全て普通

それの全てを難無く躱した


不規則な威力と方向から来る霊弾を撃ち落とすのみって縛りの修行をやった俺からしたらただちょっと強くて速いだけの霊弾なんて当たる訳がない


鬼龍院「クッソ、チョロチョロと鬱陶しい!本来お前なんかに使うもんじゃねぇが見せてやるよ。俺の真装」


勝負はこれからだ…

おっさんから聞いた話によれば、真装とは霊装の霊力変換率が10の陰陽師の中で特別な条件をクリアした者のみが使える最強の陰陽術らしい

その代わり霊力消費量は半端じゃない為、最低でも下級以上の霊力量が必要だとか…


全国の陰陽師の中でも真装が使える人なんて殆どいない

これこそが鬼龍院を最強たらしめる理由


鬼龍院「真の力をもってして、大願を成就なさしめ給へとかしこみかしこみ申す…真装」


鬼龍院の体から激しい光が放たれる

そして霊力がまるで台風のように渦となる

霊力センサーで見なくてもとてつもない霊力が消費されているのが分かる


霊力の渦が収まるとそこには鬼龍院が変わらず立っていた

見た目の変化はない

銃がちょっと変わったか?

銃から発する霊力が何十倍にもなっている


これが真装…

かなり強そうだ


鬼龍院「さっさと終わらせてやるよ」


勝利を確信した顔をした鬼龍院は銃を構え引き金を引く


銃口からは先程と違い何も出たようには見えない

でも実際には何かが発射されている


その何かは確実に阿部の元へと向かい

直撃…


しない


鬼龍院「は?」


阿部はまるでその見えない何かを見えているかのように避けたのだ


鬼龍院「いや、マグレだ」


少し慌てた鬼龍院だが直ぐに切り替え次の攻撃に移る


1発、2発、3発……と計10発撃ち込み

今度こそ勝利を確信…


したと思ったらまたもや阿部は避ける

避ける、また避ける、そして避ける

全て避ける


鬼龍院「クッソ!お前、戦闘センスがあるな…射線を予測して避けてやがんのか。ならばっ!!」


阿部の神回避を勘違いしている鬼龍院は射線を予測出来ないよう曲がる霊弾を放った


多方向から曲がりながら阿部へと迫る霊弾

今度こそ当たる……


訳もなく阿部はその全てを今度は避けること無く弾き飛ばした


「もういい」

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