第58話

試合に向かう時藤原とすれ違った


「惜しかったな」


藤原「負けは負けよ」


戻るにしては遅かったと思ったら目が少し赤くなっていた


泣くほど?と思う人もいるかもしれないけど俺はそうは思わない

藤原は入学してから誰よりも高い志で頑張ってきたのを知ってるから


「まぁ見とけよ」


だからこいつに慰めはいらない


藤原「見てる。負けんなよ」


「負けねぇよ。負けられない理由がある」


その為にあの地獄を耐え抜いたんだ


藤原「どれだけ強くなったのか楽しみにしてる」


「うん。それに…」


正気に戻しちゃらんとあかん奴もおるしな


体育館へと入る

1回戦とは空気が違う


そう感じるのは対戦相手が違うからだろうか?

それとも俺がビビってるのからだろうか?


改めて向かいの相手を見据える

3年の鬼龍院

霊力は上級、霊装は銃と聞いた事がある

その上「真装しんそう」まで使うらしい

イレギュラー(武本)を除けば間違いなく校内最強だろう


上級だけあって霊力量もとんでもない

霊力回路を拡げたお陰で今の俺の霊力量は中級相当はあると思う

そんな俺と比べて2倍以上はある

化け物かよ…


鬼龍院「お前、もしかしてあの時の無能か?」


あの時と言えば1つしかない

入寮の時の事だろう


「だとしたらなんです?」


鬼龍院「ハッ!まだこの学園にいたのかよ。マグレとイカサマで2回戦来れたからって勘違いしてんなや!!」


「そのイカサマに負けたのは先輩の取り巻きですけどね」


鬼龍院「おめぇ、まじで調子乗ってんな?いい加減にしとけよ」


自分から煽ってきたくせに煽り耐性0かよ

なんだこいつは


「吠えるのは試合に勝ってからにして下さいよ。弱く見えますよ?」


鬼龍院「お前生きて帰れると思うなよ」


ブチ切れてらっしゃる

適当に挑発して怒りで行動が単調になれば儲けもんだと思っとったけど、効果絶大過ぎない?


試合開始と共に鬼龍院は詠唱を始める


鬼龍院「かしこみかしこみ申す、霊装展開」


1回戦と同じように突撃しても良かったけど相手は最強と言われてるんだ対応されるだろう


詠唱が終わり、霊装が展開される

見たとこ霊力変換率は5割程度

わざと減らしてるのか?

もしくは様子見?

どちらにせよ両手に握られた霊装武器が脅威だというのには変わらない


鬼龍院「なんだお前、霊装展開すら出来ねぇのか?大口叩いた癖によ!!やっぱり無能じゃねぇか!!」


出来ないんじゃなくてやらないんだよ!!

霊力量で劣る俺が勝つ為には霊装展開みたいな霊力垂れ流しをする訳にはいかない

修行で出来るようになった、一部だけ霊装展開する「部分展開」

これが1番効率がいい


鬼龍院「仕方ねぇ。可哀想だがボコボコにしてやるよ」


下卑た笑みを浮かべながら両手の銃をこちらに向け構える

それぞれの銃に込められた霊力は通常の霊弾と同じくらい


鬼龍院が引き金を引いた

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