第57話

慌てて飛び出そうとしたがその必要はなかったようだ


倒れた花村と霊弾の間に颯爽とが現れる

そのは霊弾を力任せに弾き飛ばす


とは勿論この人…


担任「おい!ガキ」


ドスの効いた低い声

とんでもない霊力を放っているとか言う訳でもないのに威圧感が凄い

かなり離れてるのに息が詰まる


それほどの殺気をモロに食らっている武本は一体どんな表情をしてるのだろう


武本「試合に先生が乱入するのはルール違反では?」


恐怖に震える訳でもなく逆に怒りをぶつけるでもなく、ただヘラヘラと笑っていた

こいつ本当に人間か?

武本のその様子になんとも言えない気持ち悪さを感じた


担任「お前なら止められたはずのに何で止めなかった。本気で殺すつもりだったのか…?」


武本「やだなぁ、先生が助けたじゃないですか?」


その一言の後、担任から発せられていた威圧感が何倍も増した

俺でも今の担任を相手にするのは正直嫌だ

それくらいの凄みがあった


担任「お前本気で言ってんのか?」


それでも武本は動じず

なんならニヤリと笑った


武本「だとしたら?」


まさに一触即発

いつ戦闘が始まってもおかしくない状況

と思っていたら


担任「あぁ、そう」


威圧感はフッと消えた


武本「なんだ。やらないんですか?」


担任「やるわけないだろ。残念ながらお前も私の生徒、だからな」


武本「じゃあ俺が生徒じゃなくなったらやってくれるんですかね?」


担任「私は、私の大事な生徒に悪意を持って傷付ける奴を絶対に許さねぇ。それが例え、私の生徒だとしても!だ。2度目はないぞ」


武本「随分とお優しいんですねぇ」


一体どれだけ煽るのか

煽らないと死んでしまうんだろうか?


担任「ま、ただ今のお前を見て分かった事がある」


今度は担任がニヤリとした


担任「お前じゃ、には勝てないよ」


そう言った瞬間、武本の霊力が跳ね上がった

が誰の事か心当たりが無いこともないが、面倒な事になりそうだったので姿を消した


次の試合は誰かさんが結界をぶち破って乗り込んだ為、一時中断となった


花村は霊力がなくなっただけで他は特に問題なかった


幸い結界は簡単な処置で済んだので1時間後には試合再開となった


第4試合は細見先輩対2年女子

互いに遠距離の霊装武器

となれば実力が上の細見先輩には負ける要素はなく完封して勝利した


めでたい事だが次の対戦相手の事を考えると負けて欲しかったと思う自分がいた


第5試合は藤原対3年女子

藤原は終始全力で戦った

火力で勝る藤原と技術と戦闘経験で勝る3年女子

お互いが全力を出し会った試合は互角だった

決め手となったのは奥の手

1回戦で手の内をさらけ出した藤原に対し、隠し通した3年女子


決めにかかる藤原の攻撃を見切って、逆に自分の必殺技を当てた3年女子が勝利した

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