第56話

3試合目は武本対花村

勝ち上がってきた1年同士の試合となる

十中八九武本が勝つだろうが、武本の保有霊力と様子がおかしいのが気になる

何事もなく終わってくれるといいんだけど…


試合開始の合図と共に武本は花村に向かって直進する

1試合目と全く同じシチュエーション


1試合目を見ていた花村は後ろに飛びながら短縮詠唱で霊装を展開

考え得る限り最善の対応だと思う


それでも武本は関係ないと言わんばかりにそのまま突っ込む

武本の拳と花村の盾がぶつかる

衝撃に耐えきれず花村が吹き飛ぶ


武本「どうせ勝てないんだから降参すれば?」


興味無さそうに立ち上がる花村を見て降参を勧める

だがその問いかけに返答はない


武本「あっそ。なら死んでも恨むなよ」


まるでおもちゃが壊れたらごめんね?とでも言うくらいの軽さで言う

その姿は以前までの武本とは似ても似つかないものだった


そこからは一方的だった

武本の強烈な攻撃を要所、要所で防いでなんとか耐える花村

見るに堪えない、いじめと何ら変わらない光景だった

ギャラリーの生徒はあまりの惨さに目を背ける者も少なくなかった


でも実際、武本は痛めつけようとしている訳ではなく、意識を刈り取れる程度に手加減していたのだった

そこを花村がうまく防御してしまうせいで痛めつけているように見えてしまうのだった


死んでも恨むな、とか言いながら手加減する辺り完全に性格が変わったわけじゃなさそうだ

だとしても花村の不利は変わらないし、勝てる見込みがあるようには思えない


武本「なんだお前?勝てねぇの分かったろ?さっさと降参しろよ、イラつくなぁ。勝てるとでも思ってんのか?」


またしても花村は無言…かと思えたが


花村「……す…だから」


武本「は?聞こえねぇよ」


花村「武本君のことが好きだから!!」


予想外の声のデカさとまさかの返答に会場が静まり返る


武本「それと降参しねぇのは関係ねぇだろ」


花村「なくない!!」


武本「あぁ!?」


花村「今の武本くんはおかしいよ!私が好きだった武本くんはヒーローだったもん!!」


武本「んなさみぃてめぇの妄想に付き合ってられっかよ!お前が俺の何知ってんだ!」


花村「知ってるよ!!私を私達を助けてくれたヒーローだもん!!」


武本「うるせ…」


花村「だから!!好きだから!殴ってでも私が正気に戻すの!!」


途中から花村の目には涙が浮かんでいた

見るもの全ての心を揺さぶるような花村の覚悟

1回戦の執念すら感じる戦いはこの為だった


だがそれは1番届いて欲しい相手には、届かない


武本「もういいわ。死ね」


武本は右手を花村に向け、霊力をタメ始める

完成したのは通常の3倍以上のサイズの霊弾

躊躇う様子もなくそれを花村に放つ


花村は盾の前に障壁を何枚も貼り威力を弱めた

霊弾は障壁を難無く突き破り花村の盾とぶつかる


花村「うあああぁぁぁぁ!!!!」


花村はなんとか霊弾を上へ逸らした

が、盾は破壊されてしまった

すぐ様残り少ない霊力でなんとか盾を構築する


その直後花村は絶望する

さっきと同じ大きさの霊弾がすぐそこまで飛んできていたから

しかも武本は次の霊弾も準備していた


なんとか気力で立っていた花村だったが

その気力さえも断ち切られついに倒れてしまった


このままじゃ花村に霊弾が直撃しちまう、流石に怪我じゃすまねぇぞ!!



―――――――――――――――



呼ばれてなくても登場します

ババー('ω')ーン!!

「むじ陰」の累計PV数1万に続き作品フォロー数も100を突破しました!!

∠(゚Д゚)/イェーイ

本当に皆さんの応援に支えられておりますo┐ペコリ


さて、本編ですが①②と長い事続いた校内選抜大会編ですがやっと終わりが見えてきました(多分あと10話くらい?)

鬼龍院との試合は?おかしくなった武本は?

阿部の活躍乞うご期待!!

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