第46話

山村「まず、普通の陰陽師は集撃や霊弾の威力がほぼ同じだ」


「はぁ…」


山村「あれ?反応薄くない!?全てのランク、全ての陰陽師がもれなく全員同じ威力なんだぞ?」


「はぁ…」


反応薄いと言われてもはぁ、としか答えようがないんだけど


山村「正晴の集撃を思い出して欲しい。他の皆と比べてどうだ?」


皆と比べてって言われても余分に霊力が必要なこと以外は分かんないし…


「そもそも集撃の威力って言われてもよく分かんないんだけど」


そう言うとおっさんはマジかよって顔になった


山村「かー!なら答えを教えてやる。正晴、お前の集撃は普通の2倍威力があるんだ」


「はぁ…」


山村「うおぉぉぉー!どうしてこの凄さが伝わらねぇんだよ!2倍だぞ!2倍!!」


「いやだって集撃の威力が2倍になった所で別に…」


山村「全然違うぞ。そもそも何故普通の陰陽師は威力が同じなのかを教えてやろう…理由は簡単”無意識”だ」


「無意識?」


山村「そうだな…100円ってどんなサイズだ?」


俺は右手の親指と人差し指で円を作る


「これくらい…」


山村「そうだな。そしてその大きさは日本人だったら皆同じ様な答えになるだろ?」


「まぁ、そりゃ」


山村「それが”無意識”だ。陰陽師は皆、集撃や霊弾はこの大きさだと無意識下で決め付けている。この無意識は陰陽術においてかなり重要な要素だ。それを意識的に変えようとする方法が意識的な無意識だ」


なんだその賛成の反対みたいな言い回しは


山村「ようは無意識をかき消すほど意識すればいいって事だな。だがこれはかなり難しい、人間の行動の殆どは無意識で行われているからな。変えようとすればとてつもない時間の意識改革が必要だ」


まぁ確かに体や記憶に焼き付いてる物を変えるのは難しい


山村「だが正晴はその必要がない。そもそも100円とは何か知らないからな!これはかなりのアドバンテージだ」


褒められてんのか貶されてんのか…


「いやそれでも強い人達は強力な陰陽術使ってくるでしょ。それに比べて集撃や霊弾が強くなった所で大した事ないでしょ」


山村「本当にそうか?普通の陰陽師は集撃や霊弾は全て同じ威力だと思ってるんだぞ?」


言われてみれば確かに…

初見殺しではあるけどその思い込みを利用する事は出来るかもしれない


山村「それに集撃や霊弾はあくまで”基礎術”だ。これが全てじゃない」


このおっさん、頭ぶっ飛んでる〇チガイかと思ったけど戦闘に関してはすげぇ…

流石はあの担任の師匠だけはある


山村「ちなみにもう1つ”無意識”から外す方法がある。何かわかるか?」


それはここに来る前に見た


「詠唱」


山村「そうだ、正晴は頭がキレるな。陰陽術とは術者が想像する事象を霊力を使い実現するものだ。想像とは言ってもイメージ力によるものではなく、無意識下での認識を基に構成される。だが詠唱は、起こる事象を言葉で強制的に決定させることが出来る」


でもそれだとおかしな話になる


「じゃあなんで霊装は詠唱するのに俺たちのイメージによって色が変わるんだ?」


詠唱で結果を強制的に決定するなら、霊装展開で霊力の色が変わるのはおかしいはずだ


山村「色…あぁ、霊力の変換の話か。それは当然だ!霊装は陰陽術ではなくあくまで霊具だからな」


また分かんない話が出て来た


「霊力の変換…?」


山村「あんの野郎…ほんとなんも説明してねぇな。霊装を展開する時に光る色の事だろ?あれは霊力の変換率によって変わる。より霊力の色に近ければ近い程ロスなく霊力を変換出来てるって訳だ」


なるほど変換と…なら!

俺は霊装展開した

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