第45話

目が覚めた…

外は明るい

朝?昼?

ここが死後の世界ではない事は分かった


体の痛みはない

どころかむしろ調子がいい

まるで霊力が湧き上がってくるような…


山村「おー起きたか!早かったな」


こいつ!よくものうのうと現れたな!


「おっさん!あんたいきなり何すんだよ!」


俺の中でこの人の呼び方はおっさんに決定した


山村「いきなりとはなんだよ、ちゃんと確認したろ?」


「ちょっと痛いとしか言われてねぇ!俺は死ぬかと思った!!」


山村「そりゃ霊力回路を無理矢理拡げたんだ、一歩間違えたら死ぬからな」


このおっさんとんでもねぇ事をサラッと言いやがった…


「はぁ!?死ぬとか聞いてねぇぞ」


山村「お前は死なねぇよ。確信があった」


「どんな理屈だよ!てか霊力回路って何だよ」


山村「お前ら学校で霊力測ったろ?あれ意味ねぇんだわ」


またもやとんでもない発言を連発してくる


山村「人体には霊力を生み出す臓器なんてのはねぇからな。個人差による霊力の量に差はねぇ」


「は?何言ってんだ?」


山村「霊力は霊力回路に蓄積されていく物だ。用は回路が太ければ太いほど霊力を溜めやすいってだけなんだよ」


とんでも理論のような気はするが

一応理屈は通ってる


「つまり、回路さえ拡げれば誰でも陰陽師になれると?」


山村「そうだ!ただ適正はやっぱりあるし拡げるのもリスクがデカい。だから周子はやってねぇだろ?」


確かにそうだ…担任は並級って言ってたな


山村「霊力回路の太さは基本遺伝だ。だから霊力強い奴同士をくっつけさせるのは理にかなってんだよな…」


なんかよく分からない話で有耶無耶にされたが何で俺は大丈夫だと分かったんだ?


「あのさ…」


山村「お前もう集撃出来るぞ」


「え?」


突然の言葉にドキッとした

半信半疑だが試してみる


この数週間何度も何度もやった

霊装展開し右拳に霊力を集める

この時点で既に違った

集まる霊力の量が段違い

あっという間に右手に霊力が集まった

勿論霧散などしない


山村「な?」


ドヤ顔はムカつくが確かに出来た

というかこの後どうすればいいんだ…


山村「早く撃てよ」


「じゃあ…」


当たるとは思ってないがムカつくおっさんに向けて全力で拳を放つ


山村「フッ」


鼻で笑われた挙句簡単にいなされた

まぁ、そこはいい


「なんで急に集撃が打てるようになったんだ?」


山村「簡単な事だ。正晴の集撃は必要な霊力が多かった、それだけだ」


「それだけ…?」


山村「そうだ!10Lはいるバケツに蛇口を殆ど捻らず水滴で水を貯めるような感じだな。勿論、貯まるわけないし発動もしない。一体誰に教わったんだ?」


「いや、普通に授業で…」


と言いながら違和感はあった

何となくだが体が勝手に動く感覚、というか体が覚えてるように感じた


山村「本当はそれが1番大変なんだがな…周子から選抜大会優勝出来る様育ててくれって言われた時俺は無理って言ったんだぜ?それでも一目見てくれって頼むもんだから見てみたらおもしれー事になってた訳よ」


嬉しそうに話しているが全くピンとこない

何が言いたいのだろうか


山村「自分の凄さが分かってねぇみたいだから教えてやるよ!」


おっさんはニヤリと笑った

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