第16話
細見「周ねぇと私と隼人くん…あーっと、校長先生はね幼馴染みなんだ。3人の中で1番年上だった周ねぇは私たちの事をよく面倒見てくれて本当に優しかったんだよ?」
校長先生の名前を呼んだ時の細見先輩の顔を見て凄く嫌な想像をしてしまった
見なかったことにしよう
細見「私たちの実家、細見家も鳳凰院家には負けるけど陰陽師としてはそこそこの名家なの。周ねぇの霊力は知ってる?」
「はい。確か並級って言ってたと思います」
細見「そう。陰陽師の名家は10歳になると霊力を測る風習があってその霊力によってその後の教育方針が変わるの」
なんだか俺が思ってたのとはかなり違うみたいだ
細見「並級だった周ねぇは一家の恥として陰陽師として生きる事を許されず、教育と称して虐待紛いの事をされていたわ」
陰陽師の名家怖すぎないか?
「あれ?でも今は…」
細見「そう。周ねぇは今教師として働いてるよね?でも陰陽高校の教師っていう職は君たちが思ってるよりなるのが難しいんだよ。実際、霊力でいうと中級以上じゃないと無理って言われてるレベル」
「先生はどうやって…」
細見「凄いよね。ほんと…周ねぇは虐待に耐えながらも霊力操作や陰陽術の質を磨いてた。そうしていたら”ある人”の目に留まって師事する事になった」
「ある人?」
細見「私も詳しくは知らないの。周ねぇとはそれ以来会えなくなって…再会したのは周ねぇがこの学校に赴任する事になった去年なのよ」
「そうなんですね…」
細見「その時には既にあんな喋り方と性格になってたんだ…ビックリしちゃったけど根の部分は変わらず優しい頃の周ねぇだった」
性格が変わるほどの事が起きたって事か?
一体どんだけ過酷な修行なんだ…?
細見「君の悩みを聞こうと思ってたのに長々話しちゃってたね、ごめんね」
「いや、全然大丈夫です!寧ろ聞けてよかったですから」
これはホント
あのいけ好かない担任に少しだけ仕返し出来るネタが見つかったのだから
細見「フフ、君は聞き上手だね。ありがと!最後に一つだけ、どんなに無駄に見える事でも周ねぇは意味の無い事は絶対にやらない。だから信じてついて行ったら大丈夫!」
授業中のあの人を見る限りそうは思えないけど細見先輩が言うなら間違いないんだろう
――翌日
朝のHRが終わった瞬間、担任に近付き呟く
「周ねぇ…」
ギロッと目だけ横に向けてくる
普通に怖い殺されそう
完全に仕掛けるタイミングをミスってしまったようだ
担任「こっち来い」
そのまま首根っこを掴まれ廊下へと連れ出された
「な、なんすか」
イジってやるつもりだったのに秒で形勢が逆転した
担任「お前、
逆転どころか逆にイジられてしまう始末
「へっ!?はぁ?そんな訳ないでしょー!!はははっ…」
必死に誤魔化すが逆効果である
担任「ふぅーん?まぁ確かに私の妹は可愛いし?スタイルもいいし?性格もいいな?おまけに陰陽師としても優秀だ。惚れるのも分かる」
うんうん頷きながら喋る担任
担任「でもその分ライバルは多いぞ?お前なんかが選ばれるかなー?しかも?わ!た!し!の!妹!だからな?もし手を出すなら覚悟して手を出せよ?」
なんて意地の悪い圧力のかけ方だろうか
一方的に言うだけ言って去っていった
これぞまさに完全なる敗北、完敗か…
俺があの人に勝てる日は来るのだろうか
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