第17話
あれから細見先輩の言う通り担任に付いて行った俺は霊力の扱いに目覚め、他のみんなも実力をどんどん上げていき担任の評価がうなぎ登りに…
なんて事はなく変わらない日々が続いていた
そんな俺には今、ある問題が発生していた
入学式の日
携帯を紛失した俺に学校側が新しく携帯を用意してくれた
それも最新式のスマホS-Phoneだ
まさか俺がスマホを持つ日がくるなんて思ってもなかったのにS-Phoneときた
まさに夢のよう
でも生憎、俺はスマホの使い方なんて全然分からないし教えてくれる人もいない
スマホでやる事と言ったら元々ダウンロードしてあったパズルゲームくらい
でもまぁ、それは別にいい
問題なのは俺のスマホに入っている連絡先が親だけと言う事
中学までもそうだったが大して気にしてなかった
でもそれは高校に入学する為に全てを犠牲にしてきたからであって、青春を謳歌すると決めた高校生活でスマホの連絡先が親だけなんて事はあってはいけない
だが15年間育て上げたスーパーウルトラコミュニケーション障害は伊達では無い
黒川や杉山に聞けば普通に教えてくれると思うが切り出す勇気がないのだ
出会った最初の日に聞くべきだったがその時はそこまで思い付かなかった
勿論、藤原なんて以てのほかだ
女子に連絡先を聞くなんて行為は好きだと言ってるのと同義
簡単に言えば告白
藤原の事は好きだが付き合いたいかと言われると違う、あくまで友達として仲良くしたいのだ
それに藤原は校長の事が好きだしな
なら細見先輩は?と思うだろう
そもそも会う機会が少ないし仮に会えたとしても黒川達に聞けない俺が細見先輩に聞けるはずなど無かった
詰みも詰みのパーフェクト詰み
このままだと俺は夏休みも1人で過ごしそのまま2年、3年となり卒業後も1人寂しく生きていく事となってしまう…
それだけは何としてでも避けなくてはいけない!!
自分から言うのが無理なら相手に言わせるよう誘導すればいい…
期限は夏休みまでのあと2ヶ月
俺の頭脳をフル回転させてこのミッションやり遂げてみせる!!
ターゲットは黒川と杉山の2人
用意はいいか?
READY?
GO!!
昼食――
寮に食堂はあるのだが校舎から寮までは歩くと20分くらいかかる
そんくらいなら走って往復しろや!と思うかもしれないが校舎の方にも食堂が存在するのだ
昼食はいつも校舎の食堂で黒川や杉山と食べている
勿論、校舎の食堂もタダなのだが寮の食堂とはメニューが違う
日替わり定食はあるけど、他にはカツ丼、親子丼、スタミナ丼と言った丼を中心としたメニュー構成になっている
その為どうしてもカレーやラーメンが食べたい者以外は学校の食堂で食べる者がほとんど
知らない人の為に説明すると、スタミナ丼とはご飯の上に焼いた豚肉を多めに乗せ、その中心に卵の黄身を置くといったもので男子生徒にはかなり人気
ちなみに今日は3人ともスタミナ丼を食べている
別に示し合わせた訳では無い、たまたまだ
黒川「皆一緒とかぼっけぇな!」
※ぼっけぇ…すごい、とんでもないという意味の岡山弁
杉山「お前ら真似すんなやー!わやかよ」
「真似してねーよ!てか2人に聞きたいことがあったんよ」
黒川「なになに?」
「彼女おるん?」
彼女おるん?からのどうやってナンパすんの?からどうやって連絡先交換したん?で連想させる作戦
黒川「おる訳ないやーん!なぁ?杉?」
杉山「…」
どうせいる訳ないだろう
そう思っていた
黒川「え?嘘やろ?杉。おいっ!何とか言えよ!!」
まるで昔からの大親友が裏切り者だった時のような反応
こいつら知り合ったの高校のはずだよな…
杉山「別に隠してた訳じゃないんよ。でも宗介はこうなりそうだったから…」
黒川「明日から杉の対応考えなあかんな…」
「そうだな…」
杉山「ちょ!正晴まで!てか正晴はツインテールとええ感じやんか!」
「だからちげぇって!俺には好きな人が…」
結局当初の目的を忘れ恋バナで盛り上がってしまった
我に返った頃には昼休憩の時間があと少しになっていたので皆慌ててスタミナ丼を食べた
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