第15話
夢を見ている
何故夢だと断言出来るかと言うと世界観がまるで違うからだ
空は黒い雲に覆われ天気は雨が降っている
雷が色んな所に落ちていて周辺は焼け野原
なんというか終末
まるで世界の終わりのようだ
俺の周りにはThe陰陽師というような格好をした男が5人
目の前には「羅刹」
この夢は安倍晴明の最後の瞬間なのだと何となくだが理解出来た
だから目の前のこいつは「羅刹」のはずだ
対する「羅刹」
見た目は昨日授業で見た青鬼に少し似ている
と言ってもサイズは青鬼の2倍で筋骨隆々としているし顔はまるで般若のように恐ろしい
角は三本あるし体の色は黒い
「羅刹」は目にも止まらぬスピードで動く
俺(安倍晴明)は目で追う事が出来るが周りの5人には無理
「羅刹」は周りの5人のうちの1人に殴りかかる
俺はすかさず身代わりになる
お腹の辺りがスースーする
見てみるとお腹は「羅刹」の拳が貫通して見事に穴が空いていたのだ
だが、焦っているのは「羅刹」の方
「何だ!抜けない!何をした」
体の奥底から霊力が湧き上がる
今なら霊力の使い方が手に取る様に分かる
まだだ!まだ足りない!
周りの5人が背中に手を置く
彼らの霊力が体に流れ込んでくる
この辺りから安倍晴明視点だったのがどんどん俯瞰して見るような状態になっていった
最後は私の命を燃やすっ!!
「終わりだ「羅刹」封印が解かれた時、お前を倒せる者が現れているだろう…」
安倍晴明が何かを呟いて陰陽術を発動した
辺り一面激しい光に包まれた
――目が覚めた
体が燃えるように熱い
まだ5月だと言うのに、まるで真夏に長袖で寝てしまったんじゃないか?ってくらいの熱さを感じる
それに、何か大事な事を忘れているような…
思い出せないが考えても分からないものは仕方ない
それよりも何となくだが今なら霊力を上手く扱えそう気がしてる
早く陰陽術の授業にならないかな
ワクワクしながら陰陽術の授業を迎えたが、実際何かあった訳でもないのに霊力を扱えるようになっている筈がなかった
陰陽術の授業時間が終わりあとは帰るだけ
いつもならさっさと寮に帰るのだが今日はそんな気分になれず校内をブラブラしていた
そうして歩いていると体育館の裏に芝生を見付けた
なんだか無性に寝転がりたくなった
色々あった気がしてるけどこの学校にやってきてまだ1ヶ月しか経ってない
この普通ではない学校生活に慣れてはきたけどそれだけだ
今の俺には何もない、何も出来ない
入学式の日に連れてこられた時のままだ
俺の長年の夢であった青春を謳歌するという目標すら全然達成出来ていない
こんな状態で日々に慣れて過ごしていくだけでいいのだろうか?
そんな焦燥感に襲われる
だからと言って何か出来る訳ではないんだけど
??「可愛い後輩くんじゃないか。こんな所で黄昏てどうしたの?好きな子にフラレでもしたかな?」
「それだったらもうちょっと落ち込んでると思いますよ……ははは……って!え?あれ?細見先輩?」
不意に声を掛けられたので流れで答えてしまったけど声を掛けてくれたのは憧れの細見先輩だった
細見「そうだよ。頼れる皆の細見先輩だよ!!その様子だと何かあったのかな?」
少しのけ反ってえっへんというポーズを取る細見先輩
お茶目な所も可愛いな
「特に何かあった訳じゃないんですけど…ね。」
細見「もしかして周ねぇが何かした?」
「周ねぇ?…」
細見「そうだよ!君たちの担任のはずなんだけど…ほら苗字だって細見で一緒でしょ?細見
一瞬脳が理解する事を拒んだ
ゆえにフリーズしてしまった
…………
ハッ!危ないもう少しで細見先輩を無視してしまう所だった
よく考えたら担任の名前を聞いた事がなかったけどまさか細見先輩の姉だったとは…
そう考えれば顔も似てるような気がする
けど…
「姉妹…?なんでこんなに性格が変わってしまったんだ…」
細見「フフっ、阿部くんは正直者だね」
「あっ!つい…すいませんっ…」
ついつい本音が零れ落ちてしまった
細見「いいよいいよ!周ねぇの性格がキツイのは分かってるし。でもあんな周ねぇでも昔は優しかったんだよ」
失礼だけど全く想像が付かない
細見先輩は昔話を語り始めた
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