目覚める力編

第13話

――1ヶ月が経過した


俺は未だに霊力を扱うことが出来ていない

まるで成長していない

だがそれは他の皆も同じだった


理由は明白…

あの担任だ


陰陽術の授業が始まっても特に何もせず

5分程したらすぐどこかへ行くのだ


教師なら教師らしく教えたりしろよ!!

やっぱり俺はあの担任が嫌いだ


それと藤原、あの直後はかなり参ってる様子だったから心配してたけど翌日にはケロッとしていた

意外とメンタル強い奴なんだなと見直した


それは置いといて、今日こそはあの担任に文句を言ってやる…

そう意気込んで陰陽術の授業を迎えた


のだが…あれ?


いつもなら校庭に向かうはずなのに違うとこに向かってる


黒川「どこいくんすかー?」


担任「行きゃ分かる。静かにしてろ」


そのまま付いていくと体育館に着いた


黒川「え?なんで体育館?」


担任「じゃ!せいぜい頑張れや」


そう言って担任は体育館の隅へと歩く

取り残された俺たちは体育館の中心に固まって立っている状況


藤原「やばいっ!みんな霊装展開して!早く」


藤&武「「かしこみかしこみ申す。霊装展開!」」


藤原と武本が何かに気付きいち早く霊装展開した


??「ふーん。今の時点で気付けるレベルの奴が2人、か。なかなか良いね」


ドンッ!!


誰かの声がしたと思ったら、後方で何かがぶつかる音がした


「なんだ、これ…?」


すぐに振り向き後方を見ると、鬼?のような人型の生き物が目に見えない壁にぶつかりながらも俺たちの方に向かってこようとしていた


そいつは身長や体の形こそ普通の人間と変わらないが肌が青いので人間でない事はすぐに分かった

上半身は裸で下は黄色いズボンに黒い稲妻模様が入った”如何にも”と言った格好

何よりこいつを鬼だと思った理由は額に角が1本生えていたから


??「こいつは小鬼こおに。ゲームとかだとゴブリンとかに似てるかな?」


「山本先輩っ!!何でここに?」


声の主は先日、俺の事を助けてくれた2年の山本先輩

今は俺たちの陰陽術の授業のはずだけど今日は2年も合同なのか?

それとも山本先輩はヤンキーなのか…


山本「やぁ阿部少年!先日ぶりだな。それより何でここにって、担任の先生に聞いてないのか?」


「なんも聞いてないですけど…」


山本先輩はチラッと担任の方を見る


山本「はは…まぁ、あの先生ならやりかねないか」


山本先輩は溜息をついた後、パチッと頬を叩き気合いを入れる


山本「1年の諸君!俺は2年の山本だ。今日から毎週金曜の陰陽術の授業は怪異と戦う事になる。とは言えいきなり戦うのは無理だろうって事で、最初のうちは俺たち2年が戦い方を見せたりサポートをする事になってる。て事で今日はよろしくな!」


て事はあの小鬼ってやつが怪異なのか?

あれが陰陽師が倒すべき敵…

俺たちが何もしてないのに攻撃してこようとしてくる辺り攻撃性がかなり高い


山本「先生からは何も教わってないようだから少しだけ俺が授業をしてやろう」


山本先輩は小鬼に近付いていく


山本「まず小鬼が来るのを阻んでいるこの壁は「結界」と呼ばれる高位の陰陽術だ。怪異に対してのみ有効な壁を作り出す陰陽術で、並の怪異では傷1つ付けることは出来ない。ここの結界は校長先生が作り出しているものだからこれを突破出来るような怪異はほとんどいないぞ!」


山本先輩はそう言いながら壁があるらしき所を通る


山本「見ての通り人間には全く作用しないだろ?」


小鬼は俺たちからゆっくりと歩いている山本先輩にターゲットを変え襲いかかる


山本「2つ目。小鬼という怪異について説明出来るやついるか?」


小鬼は山本先輩の側まで来て殴ろうと大きく振りかぶる


山本「おーい?誰もいないのか?」


山本先輩は振りかぶってから放たれる拳をなんでもないように躱しながら喋り続ける


俺たちは決して無視をしてる訳じゃなく、怪異と山本先輩の動きに目を奪われていたのだ


山本「仕方ないな…小鬼ってのは大きく分けると2種類いる。今そこにいるのは青鬼と呼ばれる通常種で基本的な攻撃は、殴る・蹴る・噛みつくのどれかだ。どれも動きは分かりやすいし大振りだからよっぽど油断してない限りはまず当たらない」


今度は小鬼が蹴りを放つが、それも華麗に躱す


山本「なのでこのように落ち着いて対応し、しっかりと攻撃を当てる」


山本先輩はいつの間にか手に持っていた刀で小鬼の首を落とした

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