第10話
目が覚めるとそこは病室のような所だった
霊力測定をしてて…
最後が俺の番で…
ハッ!!
俺はどうなった!?退学は?
こんなとこで寝てる場合じゃねぇ!
黒川「あべちゃん起きたんか!」
カーテンを開くとそこには、黒川と杉山がいた
起き上がろうとするとまだ体がだるい
杉山「俺先生呼んでくるわ!」
黒川「ごめんなぁ、あべちゃん」
「ん?なんでお前が謝るんだよ」
杉山と担任が走ってやってきた
廊下は走ったらだめでしょ!メッ!!
担任「阿部、起きたか。体調は?」
「んー、ちょっと身体がだるいすかね?けどまぁ大丈夫です」
担任「そこの馬鹿のせいで無理をさせたな、すまん」
初めてこのイケすかない女教師に謝らせる事が出来た
けど…
「そこの馬鹿?」
担任「結果が悪いと退学かもって言われたんだろ?お前はそもそも他の奴とはスタートラインが違うんだ。それで退学になる訳ないだろ」
「へ?マジ?」
黒川「ほんまにごめんな」
さっきから妙に謝ってくると思ったらそういう事か
「別に俺が望んでやったことだ、いいよ。気にしてない」
黒川「あべちゃん大好き!!」
黒川が抱き着いてくるのを華麗に避けた
担任「あの後、1年は自習になった」
「そすか。で、先生がいるって事は…身体測定??」
担任「あー、そんなのもあったな。けど別件だ、校長に呼ばれてる。明日でもいいがどうする?」
2日連続校長に呼ばれる新入生ってどうなのよ…
「まぁ、この後行きますよ」
担任「んじゃ付いてこい、絶対はぐれるなよ。そこの2人は自習に戻れ」
別にはぐれるつもりはないけど、担任の言い方がとても大事な風だったのでしっかりと付いていくことにした
担任「いや、離れろや」
俺は担任の服を掴んだ
なんか手を繋ぐのもおかしいし、腕に抱き着くのも違うだろう
だから服にしといた
「先生が絶対離れるなって言ったんでしょ?」
担任「だとしてもだ!服が伸びるだろう馬鹿!」
今気付いたけど今日は昨日と違いスーツではなかった
ズボンにシャツとカーディガンというラフだがちゃんとした格好であった
まぁ、この人がフリフリの服とかスカート着る所なんて想像つかねぇしな
ゴンッ!
「いった!何するんすか」
急に拳骨が降ってきた
担任「失礼な想像をしてるような気がしてな?」
チッ!感の鋭いゴリラだぜ
「おっと!危ない」
2発目の拳骨が降ってきたが今度は避けた
にしても昨日校長室に行った時と全然違うルートを通ってる気がする
「先生、ちゃんと校長し…」
担任「着いた」
「いやいや、違うでしょ。昨日と道が…」
担任が扉を開く
そこには昨日と変わらない校長室があった
校長「やぁ!昨日ぶりだね阿部くん」
担任「では、確かに連れてきましたので私は…」
校長「まぁ、そう言わずに」
担任「いえ、仕事がありますので…」
担任がいつもと違う大人な対応をしてる
これが猫を被ると言う奴か!
校長「頼むよ、ねっ!」
校長のウインクにとうとう担任も陥落したようだ
あの人自分がイケメンなの自覚した上でやってるだろ、絶対
「で、イチャイチャを見せられる為に俺は呼ばれたんでしょうか?」
担任「イチャって!お前何言って!!」
猫剥がれてますよー!!
校長「まぁまぁ。いやぁ、すまないね。2日連続で呼び出しなんて、でも今日の事で色々聞きたいんだ」
「はぁ…」
校長「まず、君は一般家庭で育ったという認識だったのだけど嘘だったのかね?」
先程までの優しそうな雰囲気はなく
校長に見られているだけなのに喉先にナイフでも突きつけられているような錯覚に陥る
「ちが…い…ます」
俺がそう答えるといつもの校長に戻った
校長「ふむ。じゃあ君は幽霊とか見える人かい?」
「へ?幽霊?」
先程の雰囲気から一転してそんな冗談を言うもんだから気が抜けて変な声が出た
校長「そうだよ」
「いやいや、いないでしょ!!……え?いない…ですよね?」
さっと目を逸らされた
校長「その反応なら見た事はなさそうだね」
ここ数日衝撃的な出来事が多々あったけど、これが1番かもしれない
幽霊いんの?…幽霊とか…えぇ…
校長「まぁ、それはおいといて…」
置いとかないで〜!!
校長「君は霊力が見えるのかい?」
「はい」
別に嘘つく場面でもないし正直に答える
校長「それはいつからだい?」
「はっきりと見たのは夕食の時…ですかね?でもきっかけは…」
校長「ほぉ、心当たりがあるのかい?」
「多分ですけど、昨日きりゅ…あーある先輩に絡まれて、そん時に陰陽術を喰らった時かなーって」
担任「チッ、あのクソ野郎か」
担任の顔はまるで鬼の…おっと殴られるからやめておこう
校長「なるほど…じゃあその時に霊力の使い方も覚えたのかい?」
「いや、あれはなんていうか夢中でやってたら出たっていうか…よく分かんないっす」
校長「そうか…まぁ聞きたい事は大体聞けたよ。ありがとう」
「じゃあ、失礼します」
阿部が出ていった校長室には暫く沈黙が流れた
校長「どう思う?」
担任「人を欺くのが上手いスパイ…もしくは”本物”、ですかね?」
校長「誰もいないからいつも通りでいいよ」
担任「誰が聞いているか分かりませんので」
校長「誰も来ないのは分かってるだろ?それに僕たちの仲じゃないか」
担任「はぁ…分かった、分かった。で?隼人はどう思った?」
校長「どちらにせよ厄介な事この上ないって感じかな…彼の霊力測定見たんだろ?どう感じた?」
担任「結果だけ見れば一瞬しか光らせる事の出来なかった落ちこぼれ…だけど光があまりにも強すぎると思った、それに…最後一瞬だけど黒く光ったようにも見えた」
校長「僕もありえないくらいの霊力を一瞬だが感じた。測定器の故障にしては…ね。なんにせよ厄介事を頼む事になってすまないね」
担任「気にすんな。それが私の仕事だから」
担任が出ていった校長室で1人、校長は頭を抱えた
「安倍晴明…か…」
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