第11話

陰陽師のための学校と言っても高校と名前が付いてはいるので普通の勉強も勿論ある


それでも国語、数学、英語の3科目だけなのでかなり免除はされていると思うけど

とは言え1〜2年の間は1〜3時限目は毎日その3科目を受け、2年間の間に普通の高校の3年の範囲まで終わらせないといけないのでなかなかハードではある

勿論テストもあるし、赤点を取れば補習もある

赤点を取り続けるとペナルティもある


そこだけは俺に取って有利な点だった


9時半から1時限目が始まり、50分授業の10分休憩

3時限目が終わったら昼休憩1時間を挟む

13時半からようやく陰陽術についての授業が始まる


初回なので座学から始まる


担任「皆知ってるとは思うがおさらいだ。今から約1000年前、初めて現れたとされている怪異はなんだ?花村」


普通科目の授業は他の先生だったので、担任がまともに授業をしてるのを見るのは初だったので変な感じ


花村「落ち武者」


声ちっさ!

ギリギリ聞き取れたレベル


担任「そうだな。正確に言えば落ち武者の幽霊だ。最初は怪異として認識されていなかったが、その頃から怪異がどんどん現れたとされている。そもそも怪異とは何だ?黒川」


落ち武者の幽霊…?

想像するだけで怖い

また幽霊…怪異は幽霊ばっかなの?

それなら俺やってく自信ない…


黒川「はい!怪異とは霊力の塊に何らかの要因によって形が与えられた存在だとされています。その為、霊力でしか触れる事が出来ません」


黒川の癖にまともに回答したな


担任「満点解答だな。そして怪異を倒す為に霊力で戦う陰陽師が生まれた。怪異も様々な形のものが現れ当時の陰陽師達は苦戦した。それらの代表的な例はなんだ?武本」


武本「水の支配者、河童。空の支配者、天狗」


無愛想だが普通に喋れるんじゃないか

昨日黒川を無視したのはわざとかよ


担任「そうだ。そして最強の怪異と言えばなんだ?桜井」


桜井「羅刹です。」


こいつも声が小さいけどなんていうか…男にしては綺麗な声してんな


担任「そうだな。そしてその羅刹を封印したのは?中村」


中村「安倍晴明でーす」


こいつはとにかくチャラい


藤原「正確には安倍晴明と5人の陰陽師よ!」


担任「そうだな、藤原。補足ありがとう、彼らのお陰で今この平和な世界があると言っても過言ではない」


皆知ってるからこの事は陰陽師の家系にとっては普通に知ってる事なんだな…

今の説明で校長から聞いた「予言」との繋がりがざっくりとだけど理解出来た

もしかすると担任は俺に教える為に…?


担任「じゃあ油断してる杉山、霊力と陰陽術について説明してみろ」


杉山「へ?」


担任の言う通り油断していた杉山は当てられたのにアホみたいな顔をしていた


杉山「んぁーえっと…霊力はその人間の生命力。陰陽術とは霊力を使って怪異と戦う為のもの?ですかな?」


担任「なんで最後が疑問形なんだ、自信もって答えろ。ちょっと違うが大体そんな感じだ、理解出来たか遅刻魔」


「先生しつこいって…まぁ大体理解出来たっす」


担任「じゃあ今度は実際に陰陽術ってのを見せてやるよ」


黒川「陰陽術なら使えますけど?」


担任「まぁ、確かにお前らは親からある程度は教わってるだろうな。だが、所詮はお遊び、それは陰陽術とは呼べない」


担任の言葉で皆がちょっとムッとなったのを感じる


黒川「お遊びはちょっと言い過ぎじゃないすか?」


明らかな挑発だが、案の定黒川が噛み付いた


担任「なら見せてやろう。このクラスで1番霊力が高いのは…藤原だな。藤原、霊装れいそうは使えるな?」


藤原「勿論です!」


待ってましたと言わんばかりの様子で、やる気は満々のようだ


こうして急遽実践をする事になったので校庭に移動した


「なぁ、霊装ってなんだ?」


杉山「見てたら分かる。霊具の1つだが陰陽師が怪異と戦う為の特別な霊具だ」


そもそも霊具って何だよ!って聞くのは野暮だろう


担任「さぁ、やろうか藤原」


校庭へ着いたら担任と藤原が向かい合って20mほど距離を開けている

俺たちはそこから100m以上離れた所から見ている


藤原「かしこみかしこみ申す。霊装展開っ!!」


霊力測定の時みたいに藤原の体を霊力が包み込んだと思ったら白い光を放つ


担任「霊装展開」


担任はかしこみかし…の部分を省略したが藤原と同じように霊力に包まれる

担任から放たれた光は綺麗な青色であった

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