第9話

2時限目は霊力測定

陰陽師にとって1番大切なのがこの霊力量

霊力が多ければ色んな陰陽術を扱う事が出来るし、長く戦う事が出来る

逆に少ないと陰陽師の道を諦めなければいけない可能性すらある


という説明を学校に来る途中、黒川に教えて貰った

でもあまりに結果が悪いと最悪退学になるかもしれないらしい

つまり霊力量も少ないだろうし、そもそもまともに使えない俺は退学の大ピンチという事だ

昨日までの俺なら喜んだかもしれないけど、この青春を謳歌するのにピッタリな環境、手放すには惜しい

どうしたらいいのか…


ちなみに霊力量と言っているが明確に数字で決まっている訳ではない


専用の装置を付けて霊力を放出すると陰陽灯と呼ばれる球が光る

陰陽灯は霊力量によって光る色が変わっており、

白色……並級

青色……下級

黄色……中級

橙色……上級

赤色……超級

紫色……絶級

黒色……伝説級

と分けられている。


霊力は基本的に増える事はないとされている

ちなみにうちの校長は超級らしい

霊力量で陰陽師としての実力が全て決まる訳ではないが上位の陰陽師は全て霊力量が多い実際、各学校の校長として赴任している人は全員上級以上なんだと


鬼龍院も霊力量だけで言うと上級らしく、素質だけで言えばかなり優秀

絶級以上の陰陽師はかなり貴重で、確認されている中ではこの世に3人しかいない

伝説級は今まで1人も確認されておらず、まさに伝説と言えるだろう


とは言え普通はそこまでの霊力量は必要ない

名前からも分かる通り大抵の陰陽師は並級なのだ

中級だったらそれだけで将来は安泰ってレベル


順番に霊力量を測る


担任「まずは花村はなむらだ。来い」


花村と呼ばれた女子生徒は身長は低くく前髪は長くて目が隠れていた、一瞬目の辺りがキラッと光ったから眼鏡でも掛けてるんだろうか?


花村は測定器を両手両足につける

昨日の黒川と同じように、花村の体の周りを青い霊力が包み込む

霊力が測定器に吸い込まれるように流れると、陰陽灯が白く光った


担任「花村は並。次は黒川」


特筆する所もなく普通に黒川も並級だった


担任「次は、武本たけもと


武本と呼ばれた男子生徒の身長は俺と同じくらいで髪型は普通のショート、顔も普通でなんだか仲良くなれそうな奴だと思った

武本の体から発せられた霊力は花村や黒川のより1回りか2回り大きい気がした

やはりと言うべきか陰陽灯も青とまではいかないまでも青白い光を放っていた


担任「ほぉ、やるじゃないか。ギリギリだが下級だ」


武本は意外と凄い奴だった


黒川「お前すげぇな」


持ち前のノリの良さ全開で話しかけにいったのに、武本は無視した挙句苦虫を潰したような表情をしていた


担任「次、桜井さくらい


桜井と呼ばれた男子生徒は身長160くらいでおかっぱに丸眼鏡といういかにも勉強が好きそうな(偏見)見た目だった

彼も普通に並級だった


担任「次、中村なかむら


中村と呼ばれた女子生徒は身長160くらいで茶髪のセミロングで軽くウェーブしている

パーマでも掛けてるんだろうか?

顔も普通に可愛いし、スカートも丈を短くしている

今時のオシャレ女子って感じ

まぁオシャレでも霊力は並級だった


続いて杉山、こいつも特に何も無く並級


担任「次、藤原」


今までの結果を見ても武本以外全員並級って事はやっぱり並級が普通なんだろう

この感じなら藤原も並級なんだろうと思ってた


でも、藤原の体から溢れる霊力は武本みたいに大きくはなかったが素人目から見ても濃度?というか色の濃さが違った深い青色をしていた

陰陽灯は綺麗な黄色に光っていた


この結果にはクラスの皆がざわめいた

藤原すげぇ!!

皆に褒められて嬉しそうに照れてなかったら100点だったぞ!


担任「最後、遅刻魔」


「ちょ、酷いですよ」


何人かから笑いが起きる

笑ったやつ覚えとけよ!!


測定器を右足、左足と順番に付ける

もしこれで光らなかったら?と考えると心臓の鼓動が速くなる

そもそも俺は霊力の使い方すら分からないんだけど…

まぁ、言ってもしょうがない

やるだけやるしかない


イメージするのは皆と同じ青い霊力

それが俺の体を包み込むように…

さぁこい!体の奥底から湧き上がれ


拳に力が入る

力を込めたからといって霊力が強くなる訳ではない


陰陽灯を見る

勿論光ってない


担任「もういいぞ!お前は…」


「もうちょっとだけ!お願いします」


担任の静止を振り切り続行する

こんな事で退学になる訳にはいかないんだ!


目を瞑って深呼吸をする

俺の中に眠る霊力、頼む一瞬でいいあれを光らせたい力を貸してくれ!!


『仕方ねぇな』


聞こえるはずがないのにそんな声が聞こえた気がした

すると体の奥底、腹の奥くらいから熱いなにかが湧き上がってくる感覚になる


ヤバいヤバい!!

なんだこれ!なんだこれ!


まるで蛇口の壊れた水道のように何かが溢れ出す感覚

止められない!ヤバい!ヤバい!ヤバい!


慌てて目を開くと俺の体が一瞬青く光った

その直後、陰陽灯が白く光った気がしたけど俺はそこで気絶した

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