第5話

絶対鼻折れた

鼻血も出てる


今日の俺、不幸過ぎないか?

一生分の不幸を今日にかき集めたような気さえする


起き上がるのもめんどくさい

しばらくじっとしていたら周りがザワつき始める


ツインテ「こんな事になるなんて思わなかったのよ…ごめんなさい」


え…ツインテール泣いてる?


慌てて起き上がる


「ちょ!泣くな泣くな!大丈夫だから」


だが俺の顔は鼻血を垂れ流したまま地面に倒れていたので血まみれ

ツインテールは俺の顔を見て更に泣き始める


慌てて顔を洗い、鼻にティッシュを詰めた

幸い鼻は折れて無さそうだった

痛いけどな!


教室に戻るとツインテールは泣き止んでいた


「おい。もう大丈夫か?高校生なんだから泣くなよな」


ツインテ「泣いてない」


え?こいつ何言ってんだ


ツインテ「泣いてない。くしゃみが出ただけ」


「いやいや、思いっきり…」


ツインテ「泣いてないのよ!私が泣くわけないでしょ!大体あんたが私を無視したのがいけないんでしょ!!」


なんか逆ギレされた

みんなの前で泣いてちょっと可哀想だと思ったが気の所為だったようだ


「じゃあもういいわ。あばよ」


またもや走り去ろうとしたが今度は服を掴まれる


「おい離せ。服が伸びる」


ツインテ「嫌よ」


「やめろ馬鹿!離せ!」


ツインテ「嫌よ」


コイツっ!!


「やめろまたコケるだろうが!」


ツインテ「っ!!それでも嫌よ!!離して欲しかったら私の質問に答えなさい」


「お前みたいなクソ野郎に答える義理はねぇ!!」


そのまま10分程言い合いをしていたら周りには誰も居なくなっていた

俺達は無駄に体力を消耗していた


「はぁ…もういいわ。質問ってなんだ」


このままだと終わりが見えないので俺が折れてやろう


ツインテ「やっと聞く気になったのね!全く馬鹿に付き合うのは骨が折れるわね」


「はいはい、で?」


ここで応戦したらまたさっきの二の舞になるので大人な対応をした


ツインテ「えっーと。んー…えっと…ね?こ…ちょ…せん…と何…」


ツインテールはモジモジしながら顔を赤くしていた


「は?何て?」


ツインテ「だから…こう…ょう…せんせ…」


「だから何て??」


ツインテ「校長先生と何話してたのよ!!」


そう叫ぶツインテールの顔は真っ赤だった


「は?何で俺がそんな事答えなきゃあかんの?」


こんなしょうもない質問の為に俺の鼻は犠牲になったのか…


ツインテ「なんであんたみたいな訳の分からない奴が校長先生に呼ばれるのよ!!」


さっきの表情といい、この言い様といい

さてはこいつ…


「ふーん。お前校長が好きなのか」


ツインテ「なっ!!」


さっきよりも顔が赤くなる

もはやトマトレベル

分かりやすい奴だな


「まぁ校長イケメンだもんな」


ツインテ「校長先生の素晴らしい所は顔じゃないわよ!!あの方は20歳という最年少で陰陽高校の校長まで上り詰めた天才陰陽師なの!陰陽術を使う姿は最早芸術…彼こそが安倍晴明の再来じゃないかと言われる程なのよ!」


オタク並の早口で語られた

にしてもあの校長、若いと思ってたけどまだ20歳なのか…

俺らと5歳しか変わんねぇってまじかよ


「やっぱり好きなんじゃん」


ツインテ「もうっ!煩いわね!!それより何の話をしてたのよ!!」


仕方ないので校長とした話を軽く教えた


ツインテ「やっぱりあんたみたいなのが校長先生と話す内容なんてそんな事よね…まったく、それなら早く教えなさいよ!」


段々こいつのキャラが分かってきた気がする


「俺の名前は阿部正晴だ!よろしく」


ツインテ「な、何よ急に…」


「せっかく同級生になったんだし仲良くしようかと思ってさ!お前面白いし」


ツインテ「は、はぁ?面白くないわよ!!でもどうしてもって言うなら仕方ないわね!私の名前は藤原ふじわら瑠奈るなよ!」


「俺、陰陽師とか全然分からんから色々教えてくれよな!藤原」


同級生と仲良くするのは大変そうだと思ってたけど、初日から幸先がいいな

俺は軽やかな気分で寮へと向かった

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