第4話

校長室から出た俺だが大事な事を忘れていた


「俺の教室って何処だ」


慌てて校長室のドアを開ける


「は?」


俺は出てきたドアを開けたはず

全く同じドアを開けたはずなのだ

それなのに…

そこは何も無い空き部屋だった


すぐ隣のドアを開ける

そこも空き部屋


逆側のドアを開ける

また空き部屋


一体何がどうなって…

こんな摩訶不思議な体験をしてしまうと校長が言っていた話も本当の事かもしれないと思えてくる


??「君、阿部くんかい?」


絶望していたら声をかけられた

振り向くとそこには、身長160cmくらいの美人が立っていた

体つきはスレンダーだが妙に色気がある

髪はかなり長い

その長い髪をポニーテールにして纏めているが、それでもお尻の辺りまである

そしてなにより顔だ

普通にアイドルでも可笑しくないくらいの美人

まさに清楚系の頂点のような顔

俺は生まれて初めて人の顔に見惚れた


女子生徒「そんなに見つめられると恥ずかしいじゃないか」


そう言いながらフフっと笑う

なんて破壊力のある笑顔だろうか

俺は思わず赤面してしまう


「あの…先輩ですか?」


彼女は体育館にいた女子達と同じ制服を着ている

だがこんなに美人な子はいなかったはず


女子生徒「そうだよ!私は3年の細見ほそみ。よろしく!」


「よろしくお願いします。早速何ですが、俺の教室って分かります?」


細見「あぁ!私はその為に来たんだ、うっかりさんの校長のお願いでね」


随分と校長に気安い感じだ

仲がいいのだろうか?


そのまま細見先輩に連れられ教室へと着いた

俺はその間ずっと細見先輩の揺れるポニーテールを見つめていた


「ありがとうございました!」


細見「いいよ!いいよ!可愛い後輩の為だからね!」


ウインクしながら去っていく細見先輩

可憐すぎる…


俺は浮かれたまま教室のドアを開ける


だがその浮ついた気持ちは、7つの突き刺さるような視線によりかき消される

完全に忘れていた

俺は入学式に遅刻した上、いきなり校長に呼び出しされたのだ

普通に問題児だと思うだろう


ただでさえ同級生が少ないのに浮いてしまったらこの先どうすればいいのだ…


??「おいクズ。お前の席はあそこだ」


聞き覚えのある声が聞こえた


「まさかアンタが担任か?」


担任「そのまさかだよ!担任に向かってアンタなんて舐めた口きいていいと思ってんの?」


クソがー!!

と叫びたかったが、彼女にしたら連絡不足のうちの両親のせいでわざわざ俺を拉致しないといけなかったのだ

それを思うと悪いのは俺の方だろう


ムカつくけどな!

クソ程ムカつくけどな!!

て言うかなんかキャラ変わってない?


俺は指定された席に向かう

教室は普通のサイズでそこに机が8つ

4つ4つで2列並んでいて、俺の席は後列の右角だった


隣はツインテールの女子だった

細見先輩には負けるがかなり可愛い子だったので少しテンションが上がった


その後は小一時間程、説明を受けた


どうやらこの学校は全寮制らしい

女子と男子は別の建物みたいだ

いや俺荷物とかなんも持ってきてないけど…

俺は今日ほど自分の両親を恨んだ日はないと思う


担任「以上で説明は終わりだ。明日は検査があるから体調を整えろ!遅刻はするなよ、じゃあ解散」


明らかにこっちを見ているが俺は目を逸らした


??「ちょっと!アンタ」


隣のツインテールが誰かを呼んでいる

さっ、俺は早く寮に行って必要な物を揃えないといけない


ツインテ「ちょっと!無視すんな!」


なんかツインテールがこちらを向いている気がするけど気の所為だろう


ツインテ「このバカ!!」


「おふっ!」


思いきり腹を殴られた

ありえんだろ


「なんなんだよ…」


ツインテ「それはこっちのセリフよ!無視するなんてありえないわ」


殴ったくせに何故か被害者面をしている


「俺はお前に用はない。いいな?」


そう言い逃げるように去る

つもりだったが足をかけられた


バタンッ!


勢いよく飛び出したので思いきり顔面から倒れた

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