第3話
校長について行き校長室へと着いた
校長は自分の椅子に座る
校長「さぁ、かけたまえ」
いかにも高級そうな来客用ソファーを指さす
決して裕福な家庭で育った訳では無い、寧ろ貧乏な方だろう
そんな俺でも高いだろうとわかるソファー、汚したりなどしたら…
考えるだけでゾッとする
「いや、なんかパイプ椅子とかないですか?これに座るのは落ち着かないんで…」
校「面白い事を言うね。でも生憎、椅子はそれしかないんだ。我慢して座ってくれないか」
「じゃあ立ってます」
校長「そうか、じゃあ本題に入ろう。君はこの陰陽高校がどんな学校か知っているかい?」
「知るわけないですし、そもそも受験した記憶がありません。俺は青龍高校に入学する事が決まっているので早いとこ解放してほしいんですけど…」
校長「ふむ…まず君が青龍高校に入学する事はない」
「はぁ?なんでっ!!」
校長「まぁまぁ落ち着きたまえ」
「落ち着ける訳ないだろ!!俺がどんだけ勉強したと思って…頑張って入試も受かったのに…そんなのって…」
俺の中学3年間。
めちゃくちゃ仲がいい友達がいた訳ではない
それでも遊びには誘ってくれたりはした、でも俺はそれらを全て断り勉強した
勿論部活など入ってない
塾に行けばいいとか思うだろう?
うちにはそんな金ねぇよ
青春というには短いかもしれないが、俺の3年間を全てかけてようやく掴んだトップクラスの公立高校への切符
それが入学出来ない?
こんな訳の分からない学校に入学する為に?
まじでありえないだろ…
あまりの衝撃に涙が出てきた
校長「両親からは連絡を受けていなかったのか?」
「え?」
校長「いや、この話は君の両親にも承諾を貰っていて3月には決まっていたんだがな…」
「は?」
何を言ってんだこの人
両親には連絡済だと?
それなら俺がなんも聞いてないのは…
そこで一瞬嫌な予感がした
ありえない
そう思ったがありえるのだ
うちの両親なら
頭が悪いとかそういう訳ではない
ないのだが、彼らは馬鹿なのだ
何故うちが貧乏な暮らしをしているのかと言うと両親の浪費がえげつないから
彼らは自分達が楽しければそれでいいのだ
だから貯金なんて概念はなく全て使う
何度か説得を試みたが無駄だった
だからこそ俺は両親から早く自立する為、県内トップクラスの公立高校に進学し、県外の大学に奨学金で入学しようと考えていたのだ
あの人達…俺の両親ならありえる…
しかもそれを俺に伝え忘れるとかも充分考えられる
「電話を貸してくれませんか…」
校長「いいけど君、携帯は?」
「ここに拉致される途中で落としました」
校長「え?なんでそんな事に…ま、まぁ分かったこれを使いなさい」
校長にスマホを渡される
携帯は持っていたがスマホを触るのは初めてだった
何故なら…(略)
校長に使い方を教えてもらいながら家電に電話をかける
トゥルルルルル
ガチャ
??「はーい。阿部でーす」
「もしもし母さん?」
母「えー?誰ー?」
「は?俺だよ」
母「えー?オレオレ詐欺ー?やだーこわーい」
「何言ってんだ!!正晴だって!言ってんだろが!!」
母「あー!まーくんだー!知らない番号だったからビックリしちゃったー」
「まぁいいや。陰陽高校って知ってる?」
母「いん!yoー!ってか?」
「ちょい真面目に」
母「えーこわいー!!んーとねー……あー!なんかねー3月くらいにー知らない人がーまーくんをくれって言ってた気がするのー」
ハイ
「あっそ。じゃ」
俺は母の返事も聞かずに電話を切った
そしてそのまま土下座をする
「すいませんでした…」
校長「いや、まぁ君も大変そうだね」
完全にこっちが悪いのに同情される始末
それから怪異や陰陽師について色々と説明を受けた
ここ陰陽高校は読んで字のごとく陰陽師を育てる為の学校らしい
陰陽師や怪異なんてものが存在する事自体が驚きだが、そもそも
「なんで俺が?」
俺には何も特別な力はない
出来るのは勉強くらいだ
校長「君は1番有名な陰陽師って誰だと思う?」
「それは……あっ!安倍晴明。いやでも苗字だって漢字も違うし…そもそも名前が一緒だからって…」
校長「漢字は違うけど、君は安倍晴明の遠い親戚にあたるんだ。それでも本来なら君が無理にこの学校に入学させられる事は無かったんだけどね…」
「「予言」ですか?」
校長はゆっくりと頷いた
校長「「予言」ではここ数十年で羅刹という最強の怪異が復活するとされている。だから陰陽師側にも安倍晴明の生まれ変わりが現れる。その安倍晴明が目覚める前に殺されないよう今回のような処置がされてるんだ」
「生まれ変わりが現れる?その言い方だと確定なんですか?」
校長「そうだよ。羅刹が復活するなら安倍晴明も生まれ変わる。これは絶対だ」
「なんでそんな…」
言い切れるのか?と聞こうとしたが止められた
校長「これ以上は違う話になるからまた今度だね」
理屈は分からないが、安倍晴明の生まれ変わりが現れるのが確定なら理解は出来る
出来るがやっぱり納得は出来ない
とは言えもうこの学校でやっていくしか無いのだ
拒否した所でまた捕まるし、逃げ切った所で今更青龍高校に入学する事も出来ない
モヤモヤを抱えたまま俺は校長室を後にした
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