第2話

俺は走る

どこに行けばいいのか?

そんなのは知らん


取り敢えず大通りに出るまで走って

誰かに助けを求めて

親に連絡?

いや高校に連絡?入学式出れてないけどなんとかなるか?


取り敢えず逃げよう

こんな訳が分からないとこにはいられない


10分くらい走っただろうか

振り返っても学校はもう視界に入らない


少し冷静になってきた

そもそも携帯があるのだから連絡すれば良かったのだ

立ち止まって携帯の電源を入れる


電波は…


女性「手間かけさせんなよ、クズ」


「は?」


目の前にスーツの女性がいた


俺は決して足が早い方ではないが、少し立ち止まっただけでこんな女性に追いつかれるほど遅くはないはずだ


女性「オラ!いくぞ」


足首を掴まれる

そしてそのままスーツの女性が跳んだ


ありえない


跳ねたとかジャンプしたとかでは無い

跳んだのだ

地面を一蹴りしただけで50mはありそうな木の上まで跳んだ

それも俺の足首を掴んだまま


足首だけで俺を持ち上げる腕力もありえないが、跳躍力なんて化け物そのものだ

オリンピック選手も真っ青だろう

でも今真っ青なのは俺だった


足首を掴まれたまま空を跳んでいるのだ

下手なジェットコースターより何倍も怖い

あまりの恐怖に携帯も落としてしまった


実際には2分も経たずに学校へと戻ってきたが、俺にはもっと長く感じた


逃げることも不可能だと理解したので渋々スーツの女性について行く


女性「ここよ」


着いたのはいかにも体育館っぽい建物だった

中に入るとモロ体育館といった感じ

そこには俺と同じ制服を着た男が4人

上は俺らと同じ白いブレザーで下は紺のスカート

女子用の制服であろうそれを着た女が3人


計7人が中央で立っていた

横には教員であろう人達がスーツを着て何人か立っていた

スーツの女性もそこの列に並んでいた


壇上には若いスーツを着た男が立っていた

教員は全員黒いスーツだったのに対し、その男は全身白のスーツを着ていた


男性「さぁ最後の入学者も揃った事ですし挨拶でもしましょうか」


最後の入学者とは十中八九俺の事だろう

中央の7人の視線がこちらを向く

注目を浴びるのは嫌いではないがこういった注目はやめて欲しい


白スーツの言葉から察するに彼らはきっと俺と同じ入学者なのだろう

入学者がたったの8人というのはどうなんだろうか?

それに仮にこれが入学式なら何故在校生はいないのだろうか?

そんな事を考えながら7人の横に並ぶ


俺が並んだのを確認して、白スーツが話を始める


男性「皆さん初めまして。僕の名前は鳳凰院ほうおういん隼人はやと。この陰陽いんよう高校岡山支部の校長だ」


なんと言うか仰々しい名前だ

若く見えるのに校長なのか…

見た目より歳を取ってるのだろうか?


それに陰陽高校なんて聞いた事もない、なのに岡山支部?

その言い方だと全国に支部があるみたいじゃないか


校長「今年は皆も知っている通り「予言」の年だ。だから例年に比べ、陰陽高校全体として門を広くしている。それに関して思う所がある者もいるだろうが、どうか寛容な心で受け入れて欲しい」


校長と目が合う

何だ?

俺は何かやってしまったのだろうか?

校長とは面識はないはずだけど…


その後は形式的な普通の入学式が行われた


式が終わると他の7人はどこかへ移動を始めた

俺もついて行こうとしたら声をかけられた


校長「阿部くん、だね?ちょっといいかい?」


「うわ…校長」


半強制的に入学させられたあげく、いきなり校長とのタイマンバトルなんて勘弁してほしい…


校長「うわ…だなんて傷付くな。君も僕に聞きたい事があると思うんだけど」


傷付いているようには全然見えない

それに壇上にいる時は気付かなかったけど、この校長…デカい


身長自体はそうでもない

俺とあんま変わらないくらいだから170くらいだろうか

それなのにデカいと感じるくらい身体がゴツイ、というかぶ厚い


それなのに顔は爽やか系のイケメンである

髪も短いがサラサラ

韓流系のアイドルと言われても納得するレベルだ


っとイケメンに感心している場合ではないな

確かに俺も聞きたい事は山ほどある

観念して校長についていった

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