第5話【フローラ子爵令嬢】
「言われました事、了解しました。全て了承しますので宜しくお願いします。こちらの宿泊施設の使用に関しては通いでも予想では支障は無さそうですので学習の進み具合で間に合いそうになければその時に検討をお願いします。それと学習が出来る部屋の使用許可と実技の訓練が出来る場所の許可を頂ければと思います。あと、せっかくですのでお嬢様の今の状態を知っておきたいのでお嬢様と面談をする事の許可をお願いします」
僕の言葉にダグラムが頷き、執事に部屋を用意するように指示を出してから「娘を頼む」と僕に言うと仕事に戻って行った。
「お部屋の準備が出来ました。お嬢様もどうぞ一緒に行かれてください」
執事の言葉に僕とフローラ嬢が椅子から立ち上がり用意された部屋へ移動した。
――部屋に入ると向かい合って座り、お互いが改めて自己紹介をした。
「フローラ・カリオストですわ。ハーツ学院系列の初等部に通っていますが正直いって勉学はあまり好きではありませんの。実技に関してはサッパリで初級の魔法も発動しなくて困っています。こんな
(おおう。最初から聞きにくい事を自分からぶっちゃけるとは意外だな)
「アリオン・メビウスです。アリオンと呼んでください。まず、ご質問の回答ですが勉学が好きではないとの事ですが全く出来ない訳ではないのですよね? おそらくですが、僕が教えればきっと勉学が楽しくなると思います。実技に関してもです」
僕はフローラ嬢に微笑みながら断言した。
「それは本当なの? あんな分からない事をやらされるくらいなら皆とお茶会してたほうがよっぽどいいわよ」
「そうですね。では少しだけこの場で証明をしましょうか。フローラ嬢は実技の方はサッパリだと伺いましたが何故だと思いますか?」
「
「まあ、その可能性も全くない訳ではありませんがお嬢様の場合は違うと僕は思っています」
「じゃあ何よ?」
フローラ嬢は僕の言葉の意味が分からずに答えを求めた。
「そうですね。では、申し訳ありませんが右手を出して僕と握手をして頂けませんか?」
「握手?それが魔法とどう関係するの?」
フローラ嬢は疑問を口にしながらも右手を差し出す。僕はその手を握り小さく呪文を唱えた。
「
ピリッ。
「あっ!?」
手に違和感を感じたフローラ嬢がビクッとして慌てて僕の手を離して手のひらを見つめていた。
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