第4話【依頼内容の詳細とは】

「私がダグラム・フォン・カリオストだ。知っておるとは思うが子爵家当主になる。そして娘のフローラだ。詳しい事は依頼書に書いてあるとおりだが最初に君に聞いておく事がある」


「なんでございましょうか?」


 質問の内容はだいたい予想はつくが、あえて相手に優先権をゆだねる。


「学院からの連絡によると君は今年学院に入ったばかりの一年生との事。学院の内容も分からない君を家庭教師として送り込んできたからには相当な自信があるのだろうが直接君にも問いたい。娘を学院に合格させる自信はあるか?」


 予想どおりの内容に僕は事前に用意しておいた模範解答を話した。


「はい、もちろん自信はあります。確かに僕は今年入学したばかりで学院の内容に関しては一年生です。ですが僕は今年の入学試験にて首席合格をした特別特待生になりますので入試対策に関してならば僕以上の適任者は居ないと自負しており、学院からも信用を得て任命されここにいます。僕を全面的に信用してくださる事がお嬢様の合格に繋がる事をお約束します」


(よし、噛まずに言えたぞ。これで信用してもらえなければ学院に入学したばかりで退学になる危機になるからな頼むぞ)


 僕の真剣な眼差しにダグラムが考え込む。


(僕の歳を気にしてるのか?それとも娘の家庭教師を男の僕に頼むのが気になるのか?)


 そんな事を考えていると、横からフローラ嬢が発言をしてきた。


「お父様。わたくしは彼に家庭教師を頼む事を希望しますわ。今年の学院首席なのでしょう? ならば考える必要は無いのではないですか? それに、教えるのが下手ならばまた先生を変えてくだされば良いだけの事ですわ」


 フローラ嬢の言葉にダグラムが僕に条件をつけてきた。


「分かった、フローラがそう言うならばいいだろう。君に娘の家庭教師を正式に依頼しよう。但し、いくつか条件があるのでその確認をしてから大丈夫ならば契約書にて契約をするとしよう」


 ダグラムが出した条件とは。


◇娘の家庭教師をする際には必ず侍女等を同席させること。


◇家庭教師の時間は学院がある時は授業後から夕食前までとし、学院が休みの時は必要に応じて行うものとする。


◇月に一度、依頼主が同席して模擬試験を行う。その時に成績向上が見られない場合は学院に報告し、家庭教師の変更を申し立てる。


◇家庭教師の職務を遂行するために必要ならば敷地内の宿泊施設の使用を許可する。


◇その他の不明点や学習に必要なものがあれば執事を通して依頼主に問い合わせる事。


 以上のような普通に考えても常識的な範囲の内容で僕はホッとした。

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