彼女
一時間以上もの空き時間ができたので、改札を出て気分転換をすることにした。
<駅ビルの中のエスカレーターを
そう考え、ゆっくり歩きはじめる。
「あ、あれ? 千春?」
<上で捕まえて驚かせてやろう。さっきのメッセージ、ちょっとした行き違いが原因に違いない>
無理して少し走りエスカレーターに乗る
降りると真っすぐの通路の先に千春の背中が見える。小さく手を振る千春。その先には……翼?
<お、おい>
二人は楽しそうに談笑しながら喫茶店に入った。
大きな身振り手振りで楽しそうに話す千春。笑顔で
どう見ても、ただの友達という関係を超えている。
<悪い噂だとかいって……そういうことか……。オレが帰省するのを知って、心置きなくってところか>
―新しい、彼氏によろしく
千春のアカウントへメッセージを入力した。
しかし……
とはいえ、このままでは気が収まらない。
そこで、
それを察してか否か、窓の方を偶然見た翼と目が合った。背を向けている千春には気付かれていない。しかし、翼は目を大きく見開き、口は薄っすら半開き。千春の言葉が耳に入っていない様子。
「けっ、ざまあ」
小声で吐き捨て、
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