4・襲撃

 1.『襲撃』

「……この場合の枕詞は何を指しますか? 小野寺さん」

 葵は窓辺の席に座り無表情で外を見ていた。自分の後ろの席の同級生からボールペンで背中を突っつかれるまで、教師が自分を呼んでいる声は耳に入ってこなかった。

「小野寺さん? 」教師は険のある声で再度葵に呼びかけた。

「葵、呼ばれているよ」

 後ろの同級生が小声に気づき、ようやく葵は教師の方を向いた。

「答えてください」

 葵はすっと立ち上がると抑揚の無い声で答えた。

「『神』です」

 それだけ言うとまた静かに席に着き、無表情のまま教師を見つめた。教師は眉間に皺をよせると「よろしいです」と小声で言い、生徒に背を向け黒板に文字を書き始めた。チョークが黒板を叩く音が静かな教室に響く。

 葵はまた窓の外を見る。初夏の鋭い日差しが無人の校庭に降り注ぎ、地面に引かれたトラックの白線がハレーションを起こしていた。

 ……今日も来てない

 葵は夏期補講に来ていない朋美の事を思っていた。ひとりで受けるのは嫌だからと朋美が無理矢理誘ったのに、夏期補講が始まって10日も経つが朋美の姿を学院で見る事は無かった。

 だが、朋美と音信不通になったのは補講が始まってからでは無かった。

 あの日、保健室で意識を失った直後から朋美と連絡が取れなくなった。葵は自分が意識を失った状況を知りたかったし、気づいたら姿が見えなくなっていた朋美の事が心配になりメールや電話をしたが、朋美からの返事は無かった。

 補講が始まっても姿を見せない朋美に何度も電話をしたが、携帯の電源が切られているのか、電話が繋がらないアナウンスだけが返ってくる。

 もうひとり、その時の現場に居合わせた天海は「貧血で倒れただけ」と言い、それ以上は教えてくれなかった。それに夏期補講が始まってからカウンセリングは一時中止になり、天海にも会えないでいた。

「いったい何が起こったのだろう……」

 とても重大な事が起きた。だがそれが全く記憶として呼び出せないでいる。その戸惑いは、自分の正気を疑う程になっていた。

 微かにチャイムの音が聞こえる。それは授業終了を知らせる鐘の音だった。葵は自分の机の上に視線を落とした。数学の教科書が閉じたまま置かれ、開かれたノートは真っ白だった。周りを見回すと、西日が差し込む教室は数人を残すだけで、その数人は既に帰り支度を整えていた。葵は慌ててカバンを取り出し教科書とノートをカバンに突っ込みガタガタと椅子から立ち上がった。

 教室に残った数人が好奇の目で葵に視線を向け、何か小声で囁いていた。葵はその視線に目を合わせず教室を出ると、小走りで廊下を出口に向け駆けていった。

     ◇

「1年A組の小野寺葵さん、保健室まで来てください。天海先生がお呼びです」

 夏期補講の昼休み、黒板の上にある年代もののスピーカーから葵を呼び出すアナウンスがあった。葵は開いていない教科書と真っ白なノートを仕舞い、ランチボックスを出そうとしている時だった。

 葵は驚いた。今までアナウンスで天海に呼ばれた事は無かったし、カウンセリングの再開は事前に連絡があるはずだった。名指しされた事で、教室に居る同級生の視線が一斉に葵に向けられた。葵はランチボックスをカバンに戻すと、静かに席を立ち急ぎ足で教室から出ていった。事情はどうであれ天海に会いたかった。カウンセリングよりも、あの日何があったのか、何が起きたのか。ただそれだけが知りたかった。

 無人の廊下と階段を早足で駆け抜け、保健室の前に立った。葵は、ふぅーっと大きく深呼吸をして「小野寺葵です」と告げた。

 どうぞ、と中から天海の声がした。

 久しぶりに聞く声に葵は嬉しくなり、勢いよく保健室の引き戸を引き2重のカーテンを抜け、保健室の中に入って行った。

 部屋の中に入り、葵は足を止めた。部屋の雰囲気が一変していた。

 ベッドは折畳まれ壁際に立掛けられていて、部屋の奥にあった薬棚は部屋の片隅に追いやられていた。右側の窓のブラインドは閉じられたままだったが、窓の下にあった天海の机と椅子は無くなっていた。これが保健室なのかと疑う程に、殺風景なまでに何も無い部屋に変貌していた。

 そして部屋の中央には、例の黒革のソファに、黒いストッキングに包まれた長い脚を組んで座っている天海が居た。天海は光沢のあるグレーのスーツにタイトスカート姿だった。そして何故か、天海は能面を手にしていた。能面の紅の唇が妖しく光っている。

「久しぶり」天海はにっこり笑った。

 葵は天海の顔を見ても、咄嗟にそれが天海である事を認識出来なかったのは、部屋と天海の服装の変化だけではなかった。

 天海はトレードマークの赤縁眼鏡は黒縁眼鏡に変わっていて、髪型はロングのストレートになっていた。左肩から流れるように束ねられた黒髪が、膝の上まで達している。

「どうしたの? 何か変? 」一言も発せず固まった表情で自分を凝視している葵に向かい、天海は目を細めながら聞いた。

「あ……いえ……あのいつもと……髪が」

「イメチェン。でもこっちの姿が本来の私なんだけどね」

 天海は脚を組み直し両手を組んで膝を抱えた。

「似合っているかしら? 」

「はい……お似合いです」

 葵は天海が急に別人になった気がした。天海の声のトーンも違って聞こえる。

「ありがとう。中に入って」

 葵は天海に導かれるように部屋の中に進み入った。

「今日はカウンセリングしないけど、とても大切な話があるの。この椅子に座ってくれる? 」

 天海は能面を持ったまま静かに立ち上がり、椅子の傍に立った。

 葵は一歩前に進み出るのを躊躇った。体の何処か、正確には心の何処かで、椅子に座ると言う事に抵抗を感じていた。

「この前の事が気になる? 」

 葵の心を見透かした様に天海が問いかけてきた。表情がずっと微笑んだままだった。葵は頷いた。

「そう、まあ当然ね。でも座らないとこの前の出来事が説明出来ないの。知りたいでしょ、あの時何が起きたのかを」

 葵はじっと天海の目を見た。天海は軽く首を横に傾け「座って」と告げた。

 葵は意を決し、椅子に座った。軽いモーター音がして背もたれが倒れる。葵はそれに身を委ねた。

「楽にして。肩に力が入っている」

 天海は優しく葵の髪に触れながら言った。葵は諦めたように、後頭部を背もたれに付けた。いつも以上にクッションが柔らかく感じる。

「椅子、動くけど驚かないでね」

 天海がそう言うと同時に葵の視線がゆっくりと水平に、横移動し始めた。椅子がゆっくりと右方向に回転している。視線は保健室の入り口から右に移動していき、保健室の奥の白い壁で止まった。天海は葵の左後ろに立っていた。

「暗くなるわね」

 部屋の照明が全て消えた。真っ暗にはならなかったが、薄墨で描かれたような空間になる。

「人間の心臓の固有振動数、どれくらいか分かる? 」

「え? ……心臓の何ですか? 」

「固有振動数」

 葵は天海の唐突で意味不明な質問に答えられなかった。

「大体40ヘルツと言われているわ。赤ちゃんから老人まで全部同じ。人種や男女差も関係ない。オリンピック級のアスリートみたいに特殊な訓練受けた人間も誤差の範囲内での数値なの」

「心拍数の事ですか? 」

「いいえ、それは脈。心臓を形成している細胞のひとつひとつが持っている、いわば『動き』よ。でも面白いのは肝臓や肺、内蔵だけじゃなくて手や足を形作っている細胞の固有振動数は全部違うの。

 肺は50ヘルツ、腸は10ヘルツ、手や足は80ヘルツ以上。ね、面白いでしょ? 同じ体なのに場所によって細胞の固有振動が違うって」

「あの……言っている意味が……」

「でもね、ほんの一部の人間だけ、心臓の固有振動数が全く違う事が最近分かったの」天海は葵を無視して言葉を続けた。

「タカチホブラッド、聞いた事ある? 」

 葵は正面を向いたまま首を横に振った。

 段々目は薄暗さに慣れていったが、それでも部屋は色を無くしたままだった。

「あなたの年なら知らないで当然ね。でも私たちの世代ではとても有名なの。全てのウイルスに対する免疫機能、驚異的な治癒力と身体能力、そして人の脳の機能を最大限に引き出す事が出来る血液。それがタカチホブラッド」

 葵は直接天海の表情を見る事は出来なかったが、声の様子から天海が悦に入っているのを明らかに感じ取れた。

「話を元に戻すわ。タカチホブラッドが、ある状態になると心臓の固有振動数が普通の人の倍以上になる事が確認されている。それがほんの一部の人間。私は神に選ばれた、人を超越した人間だと思っているわ」

「天海先生、さっきから何を言っているのか分かりません。なんのお話をなさっているのですか? 」葵はたまらず聞いた。天海はニッコリ笑いながら唇を動かした。

「葵さん、あなたもタカチホブラッドを持っている、選ばれた人間なのよ」

 天海は背もたれの裏にあるスイッチに人差し指を当て、押した。

 ――ドクン

 音と振動が葵の背中に響く。葵は動きを止めた。そして首筋に微かな痛みを感じた。

 ――動かない。またあの時と一緒だ。声も出ない。

 ――ドクン

 意識が遠のく。だが消え入る事は無い。

「心臓の固有振動数だけじゃないの。タカチホブラッドの持ち主は、体の全ての固有振動数が全く一緒なの。そうね、同調しているって言葉が適切かしら。これは仮説だけど、タカチホブラッドの特殊能力は全身の細胞が全て同調している事にあると私は思っているわ。でも私にはそんな事、どうでも良い」

 ドクン

 天海の声が明瞭に聞こえる。

「今から懐かしい映像流すわよ。でも、あなたはこの時死んでいたけどね」

 天海は中指で背もたれにあったふたつ目のスイッチを押した。

 正面の壁が明るくなった。壁に映像が映し出される。

 手術台の上に全裸の男が寝ている。手術台の直上にあるカメラで撮られている映像だった。男の顔には白い布が被されているが、その布の下から透明なパイプが伸び近くの機械に繋がれていた。男の両腕と両足にも細い管が刺さったように繋がっていて台から床へ這わされていた。水色の帽子を被った人間が数人現れ、手術台の周りに集まった。

 やがてそのうちのひとりが鈍い光を放つメスを男の鳩尾につきたて、一気に下半身方向へ引いた。鮮血が男の上半身に流れ出す。台の周りから数本の腕が伸び手に持ったナプキンで鮮血を吸い取っていき白いナプキンは瞬時にどす黒くなる。

 金属のヘラが開きかけた胸部に放射状に掛けられ両側から左右に引っ張られた。

 目を背けたくなる映像に、葵は目を閉じたかったが瞼を閉じる事は出来なかった。自分の意思に関係無く、人間の胸部が開かれていく映像は葵の脳裏に焼き付けられていった。

 ――ドクン

     ◇

 時を同じくして、後藤の心臓にも異変が起きていた。

     ◇

 ――来た

 後藤は、アルバイト先の塾で数学の授業をしている時だった。

 自分の心臓が大きく脈打つ。

 何度か経験しているとは言え、意識が無くなる程の激痛に慣れている訳ではない。

 心臓の異変を感じて、今度はすぐに目の奥に痛みが走った。

 後藤は生徒達に背を向けて黒板に向かい微分方程式の解を書いていたが、チョークが指からこぼれ、後藤は胸を押さえた。意識が飛びそうになる。

 ――まだだ。もう少し

 意識が遠のき、体が崩れ落ちようとしているのを必死に押しとどめる。どうにか片膝を床に立て、倒れこむのを阻止した。

「後藤先生! 」最前列に座っていた女生徒が後藤の傍に走ってきた。もうひとり、男子生徒も続いた。短い悲鳴が教室に上がる。

 女生徒は後藤の背中に手を当てた。後藤は振り絞る様に声を出した。

「打ち合わせ……した……通りの」

 そこまで言うと、また心臓が強く脈打つ。声が出ない。女生徒は素早く立ち上がると教壇の机の上に置かれていた後藤のペンケースを乱暴に開け、中からペンライトの様な細い銀色の筒を掴むとすぐに後藤の所へ戻った。

 後藤はうつ伏せで床に倒れこんでいた。

 女生徒は傍に居た男子生徒に「先生をひっくり返して」と言った。呆然と立っている男子生徒は、女生徒の顔を見たまま硬直していた。

「早く! 」

 女生徒の大声に男子生徒が慌てて動いた。後藤の左肩を掴むと勢い付けて後藤を仰向けに転がした。女生徒は男子生徒を押しのけ、後藤の傍に座り込んだ。後藤の顔面には、脂汗が尋常では無い程吹き出ていた。

「持って来ました。先生、聞こえますか? 」

 大声で後藤の耳元で叫んだ。後藤の右腕がゆっくりと持ち上がり、掌は虚空で何かを掴む動作をしていた。

 女生徒は後藤の右手に持っていた銀色の筒を握らし、そのまま両手で後藤の右手を包みながら、後藤の左腕の第二関節へ銀色の筒の先端を当てた。

「自分で出来ますか? 」再び大声で後藤に尋ねた。後藤はゆっくりと首を縦に動かした。後藤の右手の親指が、銀色の筒の先端に添えられる。後藤は残された力を振り絞って親指に力を入れる。

 ブシュっと微かな音が聞こえた。

 教室の中は静まり返っていた。生徒達は誰も声を立てず、遠巻きに女生徒と後藤の周りに集まり事態の推移を見守っていた。

 女生徒は後藤の右手を強く握り締めていた。

「ありがとう……もう離していいよ」

 力無い声が後藤から発せられた。女生徒は後藤の顔を素早く覗き込んだ。後藤は無理に笑顔を作ってみせた。女生徒は掴んでいた手を離し、両手で自分の口を押さえた。彼女の目には涙が浮かんでいた。後藤は寝転んだまま大きく息を吐くと、そのまま大きく空気を吸い込んだ。大きく息が乱れる。咳き込みながら右手に持っていた筒を離すと、そのままシャツの左胸にあるポケットに右手を突っ込んだ。

「君、ちょっといいかな」

 後藤は、へたり込んで顔を覆って啜り泣いている女生徒の後ろで、呆然と立っている男子生徒に向かって言った。男子生徒が頷くと後藤は胸ポケットから名刺を取り出し差し出した。

「ここに電話して、月岡先生って人を呼び出してくれないか」

 男子学生は再び頷きながら、後藤から名刺を受け取った。

「あの……電話して何て言えばいいんですか? 」

 男子生徒は困惑の表情で聞いた。後藤は息を整えながら、力なく微笑んだ。

「また後藤がお世話になりますって」

     ◇

 血糊が付いたゴム手袋が鮮血に染まった心臓を持ち上げた。縦に大きく切り裂かれた胸部には透明なチューブが差し込まれ、心臓があった窪みから血液を吸い込み手術台の外へ排出している。透明なチューブは動脈の様に数秒おきに脈動していた。

 取り出された心臓を持った人物はカメラの外へ消えていった。

 そこで映像は途切れた。再び保健室の中が薄暗い空間に変わった。

「ちょっと刺激的過ぎた? 」

 天海は椅子の後ろから背もたれを抱え込むように両手を廻し葵の両頬に触れた。

 葵は瞬きもせず、意識の光の無い眼差しで何も映っていないグレーの壁を見つめていた。

「もう時間かしら。そろそろ次の幕が上がるわよ」

 学院内に午後の授業の開始を告げるチャイムがなった。

 突然、雷が落ちたような轟音がして建物が揺れた。

 葵の体が、ぴくりと動き、天海の舌が上唇を舐めた。

     ◇

 轟音は校庭からも聞こえた。閉ざされていた学院の鋼鉄製の門扉をなぎ倒し、大型4輪駆動車が校庭に突っ込んできた。車体前部に取り付けられていたグリルガードは大きくひしゃげ、運転席側の前タイヤはパンクしていたが、車は蛇行しながらも速度を落とさずそのまま学院の玄関に突っ込んだ。玄関にあったガラス戸は爆発するように吹き飛び、砕け散ったガラスがエントランスに降り注ぐ。4輪駆動車は、エントランスの白いリノリウムの床にブレーキ痕と深くえぐった傷を残して停止した。

 運手席と助手席のドアが乱暴に開き、中から黒いバラクラバで顔を被った黒尽くめの男がふたり出てきた。助手席から出てきた男はライフルを持ち、運手席から出てきた男は手ぶらだったが腰のベルトには短銃が差し込まれていた。非常ベルがけたたましく鳴っている。エントランスに通じる廊下には消火器を持った教師が口を開けたまま立ちすくんでいた。教師の後ろには、数人の女生徒達が怯えた表情で立っていた。ライフルの銃口が教師に向けられた。教師は消火器を投げ捨て両手を広げて女生徒達を庇った。

 ライフルの銃口が天井に向けられ火を噴いた。乾いた音がエントランスに響く。

「逃げろ! 」

 教師が叫ぶと女生徒達は叫び声を上げながら廊下の奥へ全速力で走り、その後を教師も追う。

 手ぶらの男がライフルの男の肩に手を置き、顎を横に動かした。銃口を下に向け、ふたりは教師達が逃げたのと反対方向の廊下へ向かって歩き始めた。

     ◇

「立てる? 」

 天海の問いに、葵は幽霊のように音も無く椅子から立ち上がった。天海は葵の右手を取り、刃渡り30センチはあるサバイバルナイフを握らせた。ナイフは光を吸い込むようにオフマットブラックに塗装されている。

「あの時のと同じよ。手に入れるの結構苦労したんだから」

 葵の耳元で天海は囁き、そのまま頬にキスした。そして葵の顔に能面を被せた。

「さあ、いってらっしゃい」

 能面姿の葵は、踵を返し保健室のドアに向かって歩き始めた。2重になっているカーテンを抜けスライドドアを開けた。大音量の非常ベルが保健室に飛び込んできた。葵は廊下に進み出た。ドアは勝手に閉じて行った。

 葵は左を向く。非常ベルが止まった。それと同時にスピーカーから大声が発せられた。

「学院内に居る生徒はすぐに体育館へ非難してください。繰り返します。すぐに体育館へ非難してください! 」

 放送の最後の方はヒステリックなまでに絶叫していた。

 葵はゆっくりと廊下を左に向かって歩き始めた。

     ◇

「ええ、監視カメラは全て破壊した。手筈通りのルートに向えば目標に会えるわ。それと目標は能面を被っているって彼らに伝えて」

 天海は倒れた椅子に身を沈め、天井を見ていた。

『能面? 』黒縁眼鏡に内蔵されているスピーカーから、男の声が聞こえてきた。

「そう、ひと目で分るでしょ。間違っても違う人間を撃たないでよ」

『ゴム弾だ。当たっても死ぬことはない』

「馬鹿ね、逃げ遅れた生徒に当たったら警察や救急が来るまで私が手当てしなくちゃいけないじゃない。面倒な事させないで」

『……5分後にヘリが到着する。目標がアクティブだと確認された場合、我々の元に連行させる』

「あら、打ち合わせと違うわね。今日は確認だけじゃないの」

『あのデータだけでは確証に至らない。それに貴様の茶番に付き合っているんだ、こちらもそれに見合うだけの報酬をいただく』

「釣り合わないと思うけど」

『リスクを負っているのは我々だ。アクティブが確認されればそれなりの報酬をやる。貴様が望めば我々の元で働かせてやる』

「お気遣いどうも、でも遠慮しとくわ。それにヘリは無駄足よ」

『無駄足? どういう意味だ 』

「あなた本当に馬鹿ね。お宅の飼い犬が死ぬって言っているの」

 コンマ何秒の間の後、ピっと音がして通信が切れた。

     ◆

「後藤さん大丈夫ですか? 」

 救急隊員が背中を摩りながら聞いてきた。後藤は嘔吐袋に顔を突っ込んだまま肩で息をしていた。胃がひっくり返った感覚だが、胃の中にはもう吐き出すモノが無くなっていた。

 後藤は教室で倒れた後、救急車に乗せられ月岡の居る病院へ向かっていた。救急車後部のストレッチャーに寝かされていた。胸が苦しく息が乱れているが、ギリギリの所で意識は保っていた。だが、車が動き出してから暫くして再び異変が後藤を襲った。

 信じられない光景が見えた。

 正確には『目』で見ているのでは無く、脳の中に直接映像が映し出された。

 それは『心臓手術』の映像だった。

 後藤は思わず目を閉じた。だが脳内に写し出されている映像には何の関係も無かった。病院までの道中、後藤は尋常では無い光景を、自分の意思とは関係なく『見る』事になった。

     ◇

 ライフルの銃口が上の踊り場に向けられた。そこには能面を被り、右手にナイフを持った葵が立っていた。能面の細い目が、階段下の男達の方を見下ろしている。葵の後ろには天使の舞うデザインのステンドグラスがあり、昼の日差しを受けランダムでカラフルな透過光が、階段の壁や床を彩っていた。

「目標を確認。報告通り面を被っています。見えますか」

 ライフルの男の右隣に居たもうひとりが、胸元にあるマイクに話しかけた。

『……逆光で見づらいが、確認した』

「どうしますか? 」

『……構わん。予定通り実行しろ。連行すれば分かる事だ』

「了解」

 通話が終わると、男は腰のベルトから拳銃を抜き、親指で安全装置を解除した。ライフルの男に目配せして、そして拳銃を葵に向け、躊躇なく引き金を引いた。バンっと発射音と同時にステンドグラスが砕け散り、排出された薬夾が薄い硝煙に包まれたままリノリウムの床に転がった。

 割れたステンドグラスから、白い夏の強い日差しが差し込んできた。葵は何事も無かったかのように、ただ立っている。

 ライフルと拳銃のふたつの銃口が、微かに左に動き、照準が葵に合わされた。その時、ゆらりと葵の体が揺れた。

 次の瞬間、葵は階段を全速力で駆け下りていった。

 男達は一瞬反応が遅れたが、迫って来るセーラー服姿の能面に狙いを付け、引き金を引いた。ババンと銃声が鳴り響く。

 だが、銃声と同時に男達の視界から葵が消えた。ゴム弾が無人の階段に着弾する。

 たんっと右側から音を聞いたのと同時に、ライフルの男は右肘に冷たさを感じた。右を横目で見ると、長い黒髪が宙を流れる様に舞っている。男はとっさに身を翻したが、今度は右肘に激痛を感じた。そして信じられない光景を目にした。

 肘から先が無かった。その肘から血が噴き出している。男は消えた前腕を探した。前腕は銃杷を握ったまま、だらりと力無くぶら下がっている。男の腕は、肘から綺麗に切断されていた。

 男は叫び声を上げ、床に両膝を着いた。

     ◇

 天海はアイロンも当てられた事の無い皺だらけの白衣に袖を通した。閉ざされたカーテンにそのまま体を押し付け、手を使わずカーテンを抜けた。廊下に出た時、銃声と叫び声を聞いた。

 天海はふっと笑った。音がした方に向かって行こうとした時、天海は無造作に自分の頭頂部に手を載せ、髪を掴み引っ張った。ずるりと長髪の鬘が取れる。天海は首を2、3度強く首を振り、鬘を締まりかけているドアの隙間に放り投げた。

「短い方が楽ね。伸ばすのを止めようかしら」

 独り言を言って天海は廊下を歩き始めた。

     ◇

 男達の間に、能面の葵が階段を背に立っていた。

 サバイバルナイフが、ひゅんと振られる。白い床に血筋がパタタと一直線に引かれた。

 拳銃の男が、慌てて身体を反転させ、葵に銃口を向けた。

 しかし、葵は逃げもせず逆に男の方を向き、自分に突きつけられた銃口を能面の眉間にコツンと当てた。

 男の息遣いが荒くなっていく。自分が拳銃を突きつけているのは子供の筈だ。事実、能面を被り山刀のようなナイフを持ってはいるが、その身長は自分よりも低く、身体は細くて華奢だ。

 だが男は、野生の猛獣と直接対峙しているかのような、命の危機に直面している恐怖に支配され固まっていた。

 能面が動いた。引き金に掛かる指がビクっと動く。

 だが能面は構わずゆっくりと傾いでいく。拳銃の影に隠れていた能面が全て現れた。能面の細い目が男を見ている。

 男は恐怖に呑み込まれ、冷静さを失った。

 その場から剥がれる様に後ろに下がると、能面に向けて叫び声を上げながら何度も引き金を引いた。数発の銃声が重なり鳴る。

 だがそこには能面は無かった。次の瞬間、男は背中に鋭い痛みを感じた。ゴフっと鉄臭い息が喉を駆け上がって来る。

 背中に貼り付くように能面の葵が居た。両手で握ったナイフをゆっくりと男の体内に差し込んでいく。ナイフは正確に心臓を貫き、男は一言も発せず絶命した。男の身体が後ろに傾く。葵はナイフを抜き、身をずらした。男は仰向けのまま床に音を立てて倒れた。

 ガチリと音がした。能面が音の方向を向く。そこには右腕が無い男が、左手に拳銃を持ち立っていた。

 バラクラバの口元が大きく動き、ぜーぜーと荒い呼吸音が聞こえる。

 拳銃は葵に向けられているが、銃口は荒い呼吸に合わせ大きく動き、狙いが定まらない。それを見透かしたかのように、葵は男に近づいて行った。


 ――やめろ! 殺すな!


 突然葵の脳内に、男の大声が響いた。葵の動きが一瞬止まる。能面の下、細く刻まれた目の隙間から、素早く周囲を見渡した。

 だが自分達以外、人の気配は無かった。葵は再び動いた。

 拳銃に手を伸ばせば届く距離まで近づいた。

 バっと葵のスカートが翻る。葵は左脚を軸に後ろ回し蹴りを放った。ローファーの踵が拳銃に直撃して、拳銃が反対側の壁まで飛ぶ。

 葵は更に廻る。プリーツのスカートとカラーが遠心力で広がる。葵は腕を伸ばしサバイバルナイフを寝かせた。

 ナイフの切っ先が水平に高速移動する。

 シュッと短い擦れる音がして、男の左側の喉笛が切り裂かれた。男は咄嗟に左手で喉笛を押さえた。葵は左手にナイフを持ち替えた。

 男の押さえた指の間から血が噴き出してくる。葵はぶんっとナイフを振り下ろした。ナイフは男の左腕を肩から切り落とした。ドサリと左腕が床に落ちる。押さえを無くした喉笛から鮮血が勢いよく噴き出す。

 再び葵は回転しスカートが翻った。

 男の腹部に葵の蹴りがめり込む。両腕が無い男の体は血を噴き出しながら後ろに吹き飛び、階段に激しくぶつけて止まった。

 男の体はビクビクっと痙攣し、数秒後動きを止めた。

 階段には、割れずに残ったステンドグラスの透過光がカラフルな影を落としていたが、流れ出た赤い血が、その色づいた影を消すように広がっていった。

「終わった? 」天海が上の踊り場から下を見下ろしていた。能面が天海を仰ぎ見る。天海は白衣の両ポケットに手を突っ込んだまま、ゆっくりと階段を降り、慎重に死体と血溜りを避け葵の前に立った。

 サバイバルナイフの切っ先から血の滴がポタリポタリと落ちている。天海は葵からナイフを取ろうと右手を伸ばした。

 ひゅんと空気を切り裂く音がして、ナイフが天海の喉元に当たる寸前で止まっていた。

 「お目覚めかしら」天海は目を細めにっこり笑った。


 きゃはははははははははは


 葵は体を後ろに仰け反りながら笑い声を上げた。

「おはよう」

 葵はナイフを喉元から離すと、くるりと回して柄を天海に向け差し出した。そして能面を斜め上にずらし、髪留めのように頭に載せた。能面の下から現れた葵は、冷笑を浮かべていた。

「新しい体はいかが? 」

 天海はゴム手袋をした手でナイフを受け取りながら聞いた。

「軽いのが気に入った。今は半分のスピードしか出ないけどね。それと時空感同調にずれがあるな」

 天海はナイフの柄を白衣で拭きながら葵の横を通り過ぎ、仰向けに倒れている男の側に屈んだ。まだ温かい男の右手首を取りナイフの柄を握らせ、胸に装着されていた小型カメラをむしり取りポケットに入れた。

「それに『雑音』が入った」

「雑音? 」

「誰かが俺の『頭』の中に入ってきた」

「何それ? 」

 天海は訝しげに葵を見た。

「さあ? 」葵はおどけた表情で両手を広げ、肩を竦めた。

「そのうち慣れるわよ」天海は気のない返事をして立ち上がった。

「お姫様はどうしているの? 個人的にはそっちが興味あるわ」

「『白い部屋』でお休み中。当分起きないだろう」

 葵は片方の口角を上げ、答えた。

「そう、でもふたつ注意するわ。小野寺葵はそんな顔にならない。言葉使いも行動も上品よ」

 葵は一瞬で真顔になると、伏し目になって右手を口に当てた。

「あの……私……」

 葵の頬は紅潮して目には涙が浮かんでいた。

 天海は微笑みながら葵の傍に立ち、軽く前傾して葵の顔に自分の顔を近づけた。

「おかえりなさい。了」

 葵は右手をそのまま天海の左頬に当てた。ふたりの唇が重なる。

 大きく割れたステンドグラスから、幾重のサイレンが近づいてくるのが聞こえてきた。

     ◇

「そりゃまた随分凄惨な光景を見たもんだね」

 月岡はボールペンを走らせながら言った。

「『心臓手術』に『殺人』か。念の為聞くけど、このふたつを今まで経験した事ある? 」

「……ある訳ないじゃないですか」

 後藤は左腕に点滴を挿された状態でベッドに横たわり。か細い声で答えた。

 後藤は前回と同様に病院の待合室横にある簡易ベッドに寝かされていた。プライバシーを一応考慮しているらしく、簡易ベッドを囲む様に薄いカーテンが引かれている。その薄いカーテン越しに、待合室にあるテレビの音声が聞こえてくる。

 レポーターが何か興奮して話していたが待合室の雑音に紛れ喋っている内容は明瞭に聞こえなかった。

「だろうね」

 月岡は後藤を見ずに、バインダに視線を落としたままだった。

「ここまで詳細に話せるって事は、君の想像の世界の話では無く、驚くべき事に君の『目』は『別人』が見ている光景を認識している」

「……やはりタカチホブラッドと関係しているんですかね」

 後藤は右手で目を隠して聞いた。

「さあね。でも君のTB因子をさっき調べたけど、やはり非活性だったよ。だからね、僕の立場から言える事はただひとつだ」

 後藤は右手を外し、月岡を見た。

「現段階では関係ないと推察される。だから君はタカチホブラッドなんて気にしなくていい」

「……ありがとうございます」

「礼を言われる筋合いの話では無い。今の所君の言った事を証明する手立てが無いだけだ。もし関係する証拠が出てきたら一緒に考えるだけさ。前も言ったけどこれは僕にも関係している事だからね」

「すいません」

「謝る必要も無い」

 月岡はバインダから後藤に視線を移し、微笑んだ。

「あ、そうだ。君の生徒さんが財布持ってきてくれたよ。渡しておこう」

 月岡は白衣のポケットから黒い財布を取り出し、渡した。

「ありがとうございます。助かった」

 後藤はほっとした表情を浮かべた。

「可愛い娘さんだったよ」

「村雨さんか。難儀をさせてしまったな」

「注射器を取ってくれたって人? 」

「ええ、そうです」

「どういったご関係? 」

「どういったって……僕の授業を受けている生徒さんですよ」

「それだけ? 」

「……何が言いたいんです? 」

「いや、師弟間の愛と男女間の愛の親和性について世俗的に疎い僕も、こう何か妄想にふける状況が」

「彼女のご両親は医療関係者で、彼女も救急救命の講習受けた経験があったんです。医学部志望だし冷静な生徒だったので、授業中に異常が起きた時の対処方法を頼んでいただけです」

「君、結構語るね。口角泡飛ばすって諺知ってる? 」

「茶化さないでください」

「元気になった? 」

 後藤は何か言おうと口を開きかけて、表情が崩れ、笑みがこぼれた。照れ隠しの様にまた右手を目に乗せて表情を隠した。

「全く……」

「点滴ももう終わりだし、僕の部屋で話し聞こうか。今日予定していた手術が緊急事態でキャンセルになってね、実の所僕は暇なんだよ」

「ええ、いいですよ」

 後藤は頷いた。月岡は後藤の左腕を取って点滴を抜いた。

「こんな時になんだけど、君が見たのは心臓手術じゃないね」

 点滴の針にキャップを付けながら月岡が言った。

「え……? 」

「純粋に『死体から心臓を取り出す処置』の光景だね。献体による解剖実習か、心臓移植前の処置か。僕は心臓手術やった事無いから詳細な事は言えないけど」月岡は空になった点滴袋にチューブを巻きつけ白衣のポケットに入れながら言った。

「でも、僕は医者じゃないし間違った事言ったかもしれませんよ」

「じゃあ確認するよ。手術台の周りに何か機械はあったかい? 」

 後藤は眼球を動かした。頭の中の記憶回路が、思い出したくは無いが、おぞましい 光景を鮮明に再生し始めた。

 無い。月岡の言う通り、手術台の周りには数人の人が居るだけで『機械』らしき装置は見当たらなかった。

「無い……ありません……」

「ね? 」

「何が無いんですか? 」

「人工心臓」

 後藤は声にならない声で、あ、と呟いた。

「あれって結構大きいんだよ。人工心臓だけじゃなくて沢山モニタが無いと心臓手術なんて出来ない」

 後藤は上半身を起こし、呆然とした表情で無言になった。

「余計な情報だったかな? 」

「あ、いえ。確かにその通りだなって」後藤は納得した。

「まあそれも今からゆっくり確かめるさ。立てるかい? 」

 後藤は月岡の肩を借り、ベッドから降りて病院のスリッパを履いた。立ち上がると多少のふらつきを感じたが、心臓の痛みは既に無く胃の痛みはかなり軽減されていた。月岡はカーテンを開け、後藤に背中を向け歩き始めた。

 隣の待合室にはまだ10人程度の人が長椅子に座っていた。ほとんどが高齢者だったが、その全員が天井から吊るされているテレビに視線を向け、難しい顔をしていた。テレビはちょうどニュースが終わり、洗剤のCMに切り替わった瞬間に、月岡と後藤はそのテレビの下を通過しようとしていた。

「あっ」後藤が少し大きな声を上げた。

「ん? どうしたの? 」月岡が足を止めて振り返って聞いた。

「近くにATMあります? 手持ち、そんなに持っていないんですよ」

「それならそこを突き当たって右の廊下の先にATMコーナーがあるよ」

 月岡は待合室奥を指差して言った。ちょうど待合室の人々の真正面にふたりは立っていた。後藤は全員の顔がこちらを見ている錯覚に陥ったが、全員の視線は上を見ていた。

「ちょっと行ってきます。後からお部屋訪ねます」

 そう言って後藤は待合室の長椅子の間を小走りで駆け始めた。

「僕が貸そうか? 」

「そこまで迷惑かけられませんよ」

 後藤は上半身を捻って背後にいる月岡に言った直後、視線の端に『焦点』が合った。

 息を呑む。体を反転させると、首を上に向けテレビを凝視した。

「月岡先生! 」

 思わず大声が出た。待合室に居た全員が後藤を見た。月岡は再び足を止めた。

「来て下さい! 」

 自分が見られている事など気にも留めず、後藤は大声で月岡を呼んだ。月岡は何事かと早足で後藤の元に来た。

「どうしたの? 」

「これ……」

 後藤は小声でテレビを指差した。月岡はテレビに視線を向ける。テレビには空撮されている、どこかの学校が映し出されていた。校舎からは白い煙が昇っていて『立て篭もりか? 名門女学院で爆発火災&発砲』のテロップが大きく出ていた。

「ああ、これのせいで僕の予定手術も延期になったんだよ。最初テロで死傷者多数出る可能性があるって事でさ。特命待機って協定が病院間であってね……」

「いえ、そうじゃなくて」

 そう後藤が言い掛けた時、画面が地上の様子に変わった。

 ヘルメットを被った女性レポーターが険しい顔で何か話していたが、待合室と言う場所柄、音声は最小限に絞られていて、後藤達の所まで声が細切れにしか聞こえて来なかった。

「生徒達は無事……避難……消火活……爆発物処……」

 テロップも『人質全員無事。犯人は全員射殺? 』に変わっていた。

「無事解決したみたいだね。でもこの状況は解決って言うのかな? 」

「いえ、そうじゃなくて……あ! 」

 後藤が再び大声を出した。

「見てください」

 月岡の眼鏡の奥の目が、見開いた。

 テレビ画面には、警察のマークのついたバスに、警官に誘導され駆け足で乗り込もうとしている生徒達が映っていた。

 学院内に入れないカメラは、歩道や車道に脚立を立て塀の上から校内を撮影していた。バスはそこからかなり離れた校庭内に駐車していて、望遠で撮られた映像は揺れていた。その映像がアップになり、バスに乗り込もうとした生徒の姿が大写しになった。

 月岡の表情は変わらなかったが、目がまた大きく見開いた。

「君が見たセーラー服、そうだね? 」

 月岡は隣に目を向けず言った。後藤もテレビを凝視したまま、大きく頷いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る