第43話 テスト返却①

 テストが終わり数日が過ぎた。

 そろそろ、テストの採点も終わり返却される頃だろう。

 次の授業は国語だ。

 そう思っていたら、綾崎先生がテストの答案用紙の束を脇に挟んで教室に入ってきた。

 学級委員長の峰本さんが授業の始めの挨拶をすると「テストを返すわよ」と綾崎先生が言った。

 ついにこの時がきた・・・・・・。

 俺が峰本さんの方をチラッと見ると、目が合って「大丈夫ですよ」と微笑んでくれた。

 名前を呼ばれ席を立つとテストを受け取りに前に向かう。

 綾崎先生の前に立つとニコッと笑って「よく頑張ったわね」とテストを渡してくれた。

 

「はい次の人」

 

 俺は返却されたテストをニヤニヤと何度も見た。

 

☆☆☆


「はぁ〜。負けた〜!」


 放課後、塾から帰るといつものラフな格好をした綾崎先生が俺の家の前で待っていた。

 そして今は俺の家に上がって、缶ビールを飲んでいた。


「まさか、二人ともに百点を取られるなんて!」

「俺は完全に運が良かっただけですけどね」

「それでも悔しいの!かなり難しく作った自信があったのに!」

「実際難しかったですよ」


 だから、本当に百点を取れて自分でも驚いている。

 

「く、悔しい〜!でも、仕方ないわね。負けは負けよね。さ、どんなお願いでもしてあげるわ!なんでも言いなさい!」

 

 開き直った綾崎先生は缶ビールをグビっと飲んでそう言った。  

(お願いね・・・・・・)

 まさか本当に百点を取れると思っていなかったので、お願いんなんて考えていなかった。

 俺が悩んでいると「な、何もないの?私にしてほしいこと?」と目をうるうるとさせて見つめてきた。


「その、正直に言います。本当に百点を取れると思ってなかったので、考えてませんでした。なので、すみません」

「そっか〜。素直でよろしい!そんな素直な木村君には特別にこれをしてあげよう!」


 綾崎先生はそう言うとそばに近寄ってきて正座をすると、俺の頭をその真っ白な太ももの上に乗せた。

 

「な、何ですか!?」

「えへへ。膝枕!」

 

 上を向けば大きな山が二つ。

 横を向けば真っ白な雪のような生足。

 どこを向けばいいか分からない俺は視線を斜め上に向けていた。 

 

「嬉しい?」

「恥ずかしいです・・・・・・」

「ふ〜ん。可愛いわね!」


 そう言って綾崎先生は俺のおでこを優しく撫でた。


「からかわないでください!」


 初めての感触に俺の心臓はバクバクと大きな音を鳴らしていた。

 スベスベでモチモチで幸せな感触を頬に感じていた俺はいつの間にか眠りに落ちてしまっていた。


☆☆☆

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