第38話 テスト前日
峰本さんとテスト勉強をする日々はあっという間に過ぎ、テスト前日となっていた。
今日も俺の家で最終調整をしていた。
「うん。いい感じですね。この五日間でかなりレベルアップしましたね」
「峰本さんのおかげだな」
そして今は峰本さんの家庭教師が作ってくれたというテスト予想問題を解いて、峰本さんに丸付けをしてもらっているところだった。
「どうだった?」
「9割方正解です」
「9割か〜」
「このレベルの問題で9割なら凄いですよ」
「でもなー。百点じゃないと意味ないんよな〜。明日のテストは」
「そうですね。ですが、きっと大丈夫です。これだけ頑張ったんですから!明日は二人で百点を取って綾崎先生を驚かせてやりましょう!」
「そうだね」
峰本さんから予想問題を返してもらい、間違ったところを復習していると、「あの、木村さん」と少し遠慮がちに声をかけられた。
「ん?どうかした?」
「こんなこと言ったら迷惑かけるって分かってるんですけど・・・・・・」
「うん」
「もしも、私が国語のテストで百点を取ったら何かご褒美が欲しいです!」
「ご褒美?」
「はい・・・・・・」
「何が欲しいの?高価な物とかあげられないよ?」
「そ、そういうのはいいです。その・・・・・・」
今から言おうとしてることが相当恥ずかしいことなのか峰本さんは顔を真っ赤にしていた。
「私のことを褒めてくれませんか?」
「褒める・・・・・・?」
「はい。本当に褒めてくださるだけでいいので、私のことを褒めてほしいんです!」
サイドテーブルから身を乗り出し懇願してくるその瞳は真剣そのものだった。
「まあ、そのくらいなら・・・・・・」
「ほんとですか!?」
「うん・・・・・・」
「ありがとうございます!」
満面の笑みで嬉しそうに笑う峰本さん。
褒めてもらえることがそんなに嬉しいのだろうか?
この笑顔が見れるならいくらだって褒めてあげるのに。
見ているだけで相手を幸せにしそうな笑顔の峰本さんは「カツ丼作りますね!」とキッチンに向かっていった。
☆☆☆
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