テスト編&酔っ払い編
第29話 進路のこと
二人とお礼のデートをしてから一ヵ月が経過していた。
あれ以来、二人との距離がさらに縮まったような気がしていた。
「来週はテストがありますね」
「そうだな」
すっかりとお昼休憩に美術準備室で峰本さんとご飯を食べるのが日課になっていた。
「木村さんは進路は決まってますか?」
「一応ね」
「そうなのですね。ちなみにどちらで?」
「T大の文学部かな」
「文学部……木村さん本がお好きですもんね」
「まぁね。文学の研究がしたいかな」
「素晴らしいですね」
「峰本さんは進路決まってるの?」
「実は、まだなんです……」
「大学には行くつもりなの?」
「それもまだ考え中です。大学に行くか、それとも父の会社で働くか」
「悩みます……」と言って峰本さんは卵焼きをパクっと食べた。
峰本さんがお嬢様というのは学校では有名な話だった。あのお城みたいな家を見てその規模の凄さを知った。
どうやら、峰本さんのお父さんはいくつもの会社を経営している社長らしい。
「どっちが正解なんでしょうか」
「決まった正解なんてないんじゃないか?自分の選びたい方を選択するだけだろ。そしたら、それが自分の正解になるんじゃないかな」
「確かにそうかもですね」
「時間はあんまりないかもしれないけど、後悔しない方を選びなよ」
「そうですね。ありがとうございます」
これからの人生を決める大きな選択だから迷うのは当然のことだろう。
俺もたくさん迷った。それこそ、就職しようかとも思っていたこともあった。だけど、やっぱり夢を諦めることはできなかった。だから、俺は文芸部のある大学に行くことにした。そのために俺は今たくさん勉強をしている。
お昼休憩の終わりを知らせるチャイムが聞こえてきた。
「そろそろ教室に戻ろうか」
「そうですね」
峰本さんと一緒に美術準備室を出て、教室に戻った。
それから、しばらくすると綾崎先生が教室に入ってきた。
☆☆☆
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