第26話 綾崎先生とデート③ 『綾崎先生のあ〜ん』
「あはは、何この顔〜」
「いきなりでビックリしたんですよ!」
「一応、保存しとこ!」
「消してください!」
「いいじゃない。これも記念よ!」
「恥ずかしいのでやめてください……」
結局、綾崎先生はその写真を消してはくれなかった。
それから、今度はちゃんと笑顔の写真を撮ってパンケーキを食べ始めた。
☆☆☆
パンケーキはその見た目通り甘かった。甘すぎるくらいに甘かった。でも、これがなかなかに美味しくパクパクと食べ進めることができた。
「そっちのいちごソースのパンケーキも頂戴!」
「いいですよ」
俺はいちごソースがたっぷりついたパンケーキをナイフとフォークを使って切り分けると綾崎先生のお皿に乗せた。
「ありがとう。お礼にこっちのパンケーキをあげるね」
「ありがとうございます」
同じように綾崎先生はパンケーキを切り分けると、俺の皿に置くかと思いきや、口元に持ってきて「あ~ん」と言った。
「や、やりませんからね?」
「なんでよ~。由美ちゃんの時はしたじゃない」
「あれは、利き腕が使えなかったからです」
「いいじゃない。ほら、あ~ん!」
俺が食べるまでその手を引くつもりがないと見える綾崎先生はニコニコと笑っていた。
「木村君が食べるまで私はずっとこうしてるからね」
「相変わらず強情ですね」
「それが私の取り柄だからね。一度決めたら最後までやり通すよ」
「分かりましたよ。食べればいいんでしょ、食べれば……」
綾崎先生が差し出しているブルーベリーソースがたっぷりとかかったパンケーキをパクっと食べた。
食べた瞬間にチョコの甘みとブルーベリーソースの酸味が口の中に広がった。
若干、甘みが勝っているような気がしたのは気のせいだろうか。
「お、美味しいですね」
「だよね!」
「いちごの方も美味しいね!」といちごソースのかかったパンケーキをパクっと食べた綾崎先生が言った。
それから残りのパンケーキをペロッと平らげ、俺たちはお店を後にした。
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