第18話 翌日②
「正輝おはよう〜」
時間ギリギリに教室に入ってきた流唯が声をかけてきた。
「おはよう。相変わらず、時間ギリギリだな」
「お前それ!どうしたんだよ!?」
「実はな・・・・・・」
俺は腕がこんなことになっていることを流唯に説明した。
流唯のこの反応を見るに、どうやら俺が峰本さんと一緒に階段から落ちたことは生徒たちに知られてないらしい。
俺はそのことを安心した。
「正輝・・・・・・モテ期だな!」
「はぁ!?何言ってんだよ!どこをどう見たらモテてるなんてことになるんだ!?」
「いやいや、どう見てもモテ期でしょ。一気に二人の美人と仲良くなるチャンスに巡り合ってるんだから」
「どっから、そんな考えが出てくるんだか。偶然だって」
「偶然でもいいじゃないか。出会いなんて初めはみんな偶然みたいなものだろ?話せるだけ凄いと思え。特に『聖女様』と話せる生徒なんか稀だぞ?」
俺はチラッと峰本さんの方を見た。
クラスメイトがワイワイと騒いでいる中、一人静かに読書をしている。
(たしかにあの雰囲気に話しかけるのは勇気がいるな)
教室内にも数人、峰本さんと話したそうにしている生徒もいるようだった。
チラチラと峰本さんのことを見て様子を伺っていた。
「みたいだな」
「そうだぞ。だから、その幸せを噛み締めとけ!」
そんな二人とデートの約束をしているということは言わない方がよさそうだな。
そのことは俺の心の中だけに留めておくことにした。
担任の綾崎先生が教室に入ってきた。
流唯は先去り際に「何か困ったことがあれば言えよ」と言うと自分の席へと向かった。
☆☆☆
お昼休憩。
いつもなら、美術準備室でご飯を食べるのだが、あいにくのこの腕で弁当を作ることができなかった俺は購買でパンを買って屋上で食べることにした。
屋上へは基本的に誰でも入れることになっていた。
外へ出るとチラホラと生徒の姿が見えた。その中に峰本さんの姿もあった。
「峰本さん、隣いい?」
「あ、木村さん・・・・・・」
峰本さんは俺のことを見上げると、辺りを見渡した後に「どうぞ」と言った。
「いつも教室にいないと思ったら、ここにいたんだ」
「そうですね。教室だと、その・・・・・・視線が気になるので」
「気づいてるんだ」
「はい・・・・・・」
そりゃあ、あれだけ見られてれば気がつくか。
俺は峰本さんの隣に座って、屋上にいる生徒を改めて見た。
屋上にはいたのはカップルか教室で孤立していると思われる生徒ばかりだった。その中に峰本さんに視線を送る生徒はいないようだった。
「ここなら落ち着けそうだな」
「まぁそうですね。ところで木村さんどうして屋上に?」
「気まぐれかな。いつもは美術準備室で食べてるんだけど、なんとなく・・・・・・あ、そうだ。よかったら、峰本さんも美術準備室でご飯食べる?」
「え、いいのですか?」
「まぁ、峰本さんならいいかな」
普段の俺ならこんなこと言わないんだろうけど、こんなところで一人寂しそうにご飯を食べてるってことを知ってしまったら、ほっとけないと思ってしまった。
「じゃあ、明日からお邪魔してもいいですか?」
「いいよ。好きに使ってくれていいから。俺の部屋じゃないけどね」
「ありがとうございます」
その後は峰本さんと楽しく読書談義をしているとお昼休憩はあっという間に終わった。
☆☆☆
次回からデート編です!
お楽しみに〜✨
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます