第14話 ハプニングpart2⑧ 女神様とお風呂

 それから、綾崎先生が俺の家に戻ってきたのは数分後のことだった。

 

☆☆☆

 

「お待たせ。それじゃあ、入りましょうか」

「は、はい・・・・・・」


 ガチガチに緊張した俺と楽しそうにニコニコと笑っている綾崎先生。

 そんな綾崎先生と一緒にお風呂場に向かった。


「服脱がせようか?」

「だ、大丈夫です!?自分で脱げますから!」


 気持ちを整えるために俺は一旦脱衣所から出た。


「あはは、逃げることないのに!私は先に入ってるね〜」


 お風呂場の扉が開く音が聞こえた。

 どうやら、綾崎先生がお風呂中に入ったようだ。

 扉が閉まる音を確認すると、そっと脱衣所の扉を開けて綾崎先生がいないことを確認して中に入った。

 いないとかを確認したのはいいが、そこにあった綾崎先生の脱ぎたての服に俺は思わず目を逸らした。

(ちゃんと隠しといてくれよ・・・・・・)

 一瞬しか見ていないが、俺の目に焼き付けるにはそれだけで十分だった。

 綾崎先生の大人っぽい紫色の下着を簡単に思い出すことができてしまった。

 

「木村君まだ〜?」

「は、はいっ!い、今から服脱ぎます!」


 急に声をかけられてしなくてもいい報告をしてしまった。


「何?もしかして、覗いてほしいの?」

「ち、違いますからね!」


 そのせいで揶揄われる始末。

 扉一枚向こうにいる綾崎先生がニヤニヤと笑っているのが目に浮かぶ。

 

「ほら、遠慮してないで早く入って来なよ〜」


 片腕では服を脱ぐのも着るのも一苦労である。

 時間をかけて服を脱ぎ、水着を履いた。流石に裸のお付き合いは無理だ。

 去年、海に行った時のものが残っていてよかったと思いながら、俺はそっとお風呂場の扉を開けた。


「お、お待たせ・・・・・・」


 目に飛び込んできたその光景に俺は絶句した。

 そこには女神がいた。

 髪の毛をお団子状に結び、バスタオル姿一枚の綾崎先生。

 バスタオル越しにも分かるその豊満な胸。バスタオルから伸びる雪のような絶対領域。見るものを魅了する色気。

 もはや、女神というより理性を破壊する破壊神に見えた。

(こんなの・・・・・・直視できるか!?)

 俺は極力綾崎先生を見ないようにバスチェアに座った。


「ねぇ、何か感想はないの?」

「な、ないです!」

「そんなにハッキリと言われると自信無くしちゃうな〜」


 綾崎先生が俺の耳元でそう囁いた。

 そして、背中に柔らかいものを当ててくる。

 さらに俺の顔を両手で挟んで無理やり自分の方へと向けた。

 綾崎先生と目が合う。

 しかし、数秒も経たないうちに俺は目を逸らした。

(このままだと・・・・・・惚れる)

 そんな俺の葛藤など綾崎先生に関係あるわけもなく、さらに誘惑してくる。

 

「これでも、目を逸らしたままでいられるかな?」


 そう言って綾崎先生は自分の体を覆っているバスタオルへと手をかけた。

 何をする気なのか、まさかバスタオルを取るつもりなのか?

(ますます、見れるか!?)

 俺は絶対に見ないぞと、顔を逸らし続けた。

 そんな俺の視線の先にバスタオルがひらりと舞い降りて来た。

 その瞬間、さっきの意思はどこかへ飛んでいき、俺はチラッと綾崎先生の方を見てしまった。


☆☆☆

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