第13話 ハプニングpart2⑦ 夕食後

 綾崎先生は嬉しそうに笑うとお昼の残り物のおかずをお腹一杯になるまで食べさせてくれた。


☆☆☆


 夕飯を食べ終えた俺たちは、ソファーに横並びで座り、まるでカップルかのように一緒にテレビを見ていた。


「木村君もこのドラマ見てるの?」

「はい。綾崎先生も見てるんですか?」

「うん。この主演俳優さんが好きなのよね~」

「へぇ~。そうなんですね」


 テレビでは今話題の恋愛ドラマが映し出されていた。

 主演俳優さんは国宝級イケメンとして話題の人物で、映画にドラマと引っ張りだこだった。この人を見ない日はないのではないかというくらい人気俳優である。

 

「綾崎先生はこういうタイプの顔が好きなんですね」


 何故そんなことを聞いてしまったのか、綾崎先生の顔を見て我に返った俺は少し恥ずかしくなった。

 綾崎先生はニヤニヤと笑って「どうしてそんなこと聞くの?」と言った。


「もしかして、嫉妬?」

「なっ!?そんなわけないじゃないですか!?」

「ちぇ~。残念~」


 何が残念なのか、綾崎先生は俺をからかって楽しそうに笑っている。


「か、からかわないでください!」

「バレたか!じゃあ、からかいついでに一緒にお風呂に入ろっか?」

 

 俺が断らないことを知ってか、綾崎先生のからかいは加速していく。

 お風呂くらいなら一人で入れなくはないが、不便なことには変わりはない。

 この『女神様』と一緒にお風呂に入って理性を保つことができるのだろうか。


「どうする?私はどっちでもいいけど?」

 

 綾崎先生は体を近づけてきて俺の耳元でそう囁いた。

 断ろうと思えば断れたんだろうけど、どうやら俺も男だったようだ。俺は小さな声で「お願いします」と言った。


「ふふ、可愛いわね。じゃあ、私はちょっと準備してくるから木村君は気楽に待っててね」

 

 そう言うと、綾崎先生はお風呂の準備をするために自宅へと戻って行った。

 気楽になんか待てるか!?

 そう叫びたかったが、隣の家に戻った綾崎先生に聞かれたくはなかったので、俺は心の中で思いっきり叫ぶだけにとどめた。

 それから、綾崎先生が俺の家に戻ってきたのは数分後のことだった。

 

☆☆☆

 

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