第11話 ハプニングpart2⑤ 女神様と二人っきり
二人の作った料理は普段からやっていることが分かるほど美味しいものだったが、俺は別のことが気になってそれどころではなかった。
峰本さんは気がついているのか分からないが、俺に「あ~ん」をした箸で自分もご飯を食べていて、俺と峰本さんは間接キスをしてしまっていた。
☆☆☆
三人で昼食を終えてしばらく休憩をすると、峰本さんは「そろそろ私は帰りますね」と帰って行ってしまった。
「由美ちゃんってあんな子だったのね」
峰本さんが帰った後、俺の家に残っていた綾崎先生はコーヒーを淹れると、ソファーに座っていた俺の隣に座った。
「はい。木村君の分」
「あ、ありがとうございます」
いい香りのこのコーヒーは俺の家のものではない。どうやら、一度自宅に戻った時に持ってきていたようだ。
「まさかあんなに積極的な子だったとはね〜」
そう言いながら、綾崎先生はコーヒーを啜った。
美人はコーヒーを啜っているだでも絵になる。
その横顔が美しく、つい見惚れてしまった。
「どうかした?」
「い、いえ・・・・・・」
見惚れていたことを誤魔化さように俺もコーヒーを啜る。
「さてと、コーヒーも飲んだし、私は一旦家に帰るね」
「あ、はい」
「また、後で来るつもりだけど、何か困ったことがあったらすぐに言ってね。ずっと家にいるから」
「え、また来るんですか?」
「そのつもりだけど?由美ちゃんには、ああ言ったけど、やっぱり私生活不便でしょ?だから、お隣さん特権でお世話をしてあげる!」
「それは、それでまずいんじゃないですか?」
俺たちは生徒と教師だ。
「私たちが先生と生徒だから?」
「ですね」
「そこはほら、私は木村君の担任だから、生徒を助けるのも仕事のうちでしょ?」
多少、いやかなり強引な気もするが、推しに弱い俺が綾崎先生の申し出を断れるはずもなかった。
「というわけだから、また後で来るからね。ちゃんと安静にしてるんだよ?」
「分かりました」
「じゃあ、また後でね」
綾崎先生を玄関まで見送ると、俺は自室に向かった。
美人二人を前に俺はガチガチに緊張していた。
ようやく解放され、ベッドに座り込んだ。
「どうしてこんなことに・・・・・・」
新学期早々、散々な目にあった。
この先、俺は平穏な高校生活を送ることができるのだろうか?
その答えはすぐに出た。
もちろん、答えはノーだ。
あの二人と関わってしまった時点でその未来は最早やっては来ないだろう。
「俺、大丈夫かな・・・・・・」
そう呟いて、右手を庇いながら、ベッドに寝転んだ。
学校では『聖女様』、家では『女神様』。
二人の美人にお世話をされる俺は生きていられるのだろうか。
いや、ほんと色んな意味で・・・・・・。
そう思いながら、俺は目を瞑った。
コーヒーを飲んだが、どうやら疲れの方が勝っていたらしい。
いつの間にか俺は夢の中へと入っていった。
☆☆☆
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